2014 Fiscal Year Research-status Report
リハビリテーションサービス提供のための標準業務プロセスモデルの構築と検証
Project/Area Number |
25750129
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
金子 雅明 東海大学, 情報通信学部, 講師 (30454036)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 医療安全 / 品質マネジメントシステム / サービス品質 / プロセスマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究成果により,良質な入院リハビリテーション・サービスを提供するために各医療機関で共通に必要となる「標準業務プロセスモデル」の素案を作成できたので,本年度は,作成した本標準モデル案の有効性を検証した. 第1の検証として,提案する標準モデルの3階層構造(リハビリ実施の基本方針”,“基本方針下でのリハビリ・プログラム”,“個別の訓練実施計画”の3階層の計画に基づくPDCAサイクル),各階層内の業務プロセス要素(計80要素),そして各業務プロセス要素の実施順序を表現した業務フローチャートが,本当に医療者にとって理解できるものか,実際の業務内容との間に大きな乖離はないかについて評価していただいた. その結果,改善すべきコメントはトータルで38件が得られた.具体的には,業務プロセス要素の抜け・漏れ12件とその表現方法の変更が7件,プロセスフロー6件,判断に関わる業務プロセス要素の移行先・移行条件が4件,そして関連職種に関しては9件となっており,さらに現地でのヒアリング調査時に総合評価コメントも頂いた. 第2の検証として,これらを3病院に実際に適用し,自病院のリハビリ業務プロセスの可視化を行えるモデルとなっているかどうかを確認した.具体的には,例えばある病院においては本モデルを用いて可視化した業務プロセスと従来から保有しているリハビリ関連文書とを比較した結果,標準モデルで可視化できた業務プロセス要素に対し,従来文書内に記載されていないものの割合は平均で58.8%に達しており,本モデルの有効性を確認できた.最終的な検証結果として,地域も規模も経営母体も異なる3病院のいずれにおいても,リハビリ業務プロセスの可視化が効果的に行われたことが確かめられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進展している第1の理由としては,研究代表者は,本研究以前からモデル開発病院とは医療における品質マネジメントシステムに関する研究を進めていたため,本研究計画を策定する段階で,モデル開発病院と当該研究内容,進め方に関する合意形成がきちんとなされており,共同研究契約を結んでいるからである. 第2の理由として,各モデル開発病院での研究の進捗管理,及び研究の途中で発生した問題点への迅速な対応のために,研究代表者が定期的に各病院に訪問して,各病院の研究協力メンバーとの研究会合を実施しているためである.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は,各病院が自組織におけるリハビリサービスの業務プロセスの可視化を効率的に行えるだけでなく,標準業務プロセスモデルや他病院との比較により,自病院のリハビリサービスの質改善をより大きく進めることができるかどうかを検討する.また,もう少しマクロ的な視点から見て,自組織の枠を超えて複数病院間での業務上の問題点や改善点,及びベストプラクティスの共有が可能となり,医療分野全体のリハビリサービスの質の底上げに大きく貢献できるかどうかについても検討する. さらに,本年度の研究過程内において,従来から病院内で実施しているヒアリ.ハット事例分析にも本モデルを活用できる可能性が示唆されており,この点についてさらに深く検討していくつもりである.
|
Causes of Carryover |
当初の計画では,標準モデルの検証においてモデルの病院への適用支援と,モデルの改良点を議論するための研究会合・研究調査旅費を多めに計上していたが,本モデルに対する病院側の理解が早く,当初計画した回数の会合を開く必要がなかったので,そのための旅費も不要となった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,提案する標準モデルをベースにした複数病院間のベンチマーク分析を行う予定である.その際には,各病院のリハビリ業務により精通している実務担当者にも当該研究会合に参加してもらう方がよいと考えられるため,次年度使用額はそのための追加旅費・会合費に充てる.
|
Research Products
(3 results)