2014 Fiscal Year Research-status Report
より少量で効果的な消火を可能にする新規メタロセン系消火剤の開発
Project/Area Number |
25750135
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小柴 佑介 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (60419273)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 消火剤 / フェロセン / 消火 / 火災 / 分散系 / メタロセン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,メタロセンを有効成分とする次世代消火剤を開発することである.該当年度は当初の予定通り,フェロセン粒径,フェロセン濃度,界面活性剤種,および分散温度などを実験パラメータとして検討し,新規消火剤となり得るフェロセン/水分散系の調製方法の確立およびその分散安定性の評価を行った.主要な結果を以下に示す.d50 < 65μm のフェロセン粉末を用いた場合,50 ℃で 20 分間超音波を照射することでフェロセン/水分散系を容易に得ることが出来た.ただし,フェロセン粒径と分散安定性には負の相関性,すなわちフェロセン粒径が小さいほど分散安定性が高いことが分かった.また,n-デシルトリメチルアンモニウムクロリドやドデシル硫酸ナトリウムといったアニオンまたはカチオン界面活性剤よりもジェミニ界面活性剤である surfynol 465 を用いた方が,分散系の安定性が有意に高いことを見出した.一部先行して,噴霧特性を簡易的に評価した上で,調製したフェロセン/水分散液のプール火災に対する消火実験を行った.その結果,既存の強化液消火剤よりも消火性能が著しく高いことを明らかにした.また,分散液の分散安定性と消火性能の間に正の相関性があることを見出した.これらの知見により,フェロセン/水分散系は新規消火剤としての可能性があることが分かっただけでなく,次世代消火剤を開発するための足がかりが得られたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
該当年度は,上述の通りに当初の予定であったフェロセン/水分散系の調製方法の確立およびその分散安定性の評価だけでなく,一部先行してプール火災を用いた消火実験を行った.得られた知見を学会で発表 (国内学会:日本火災学会,日本機械学会,安全工学会,国際会議:WCOGI) するとともに,査読論文を二報投稿した (Fire Safety Journal).以上のことから,おおむね研究は順調に進捗していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,該当年度までに得られた知見をもとに,様々なジェミニ界面活性剤を用いて,確立した調製方法によりフェロセン/水分散系を調製し,それらの消火性能を体系的に評価する予定である.
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Causes of Carryover |
当初予定していた国際会議が国内での開催となったことから,若干の次年度使用額が生じた (6 万円).
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この次年度使用額は,H27年度の研究進捗のための物品費および学会発表のための旅費等に充てる予定である.
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Research Products
(7 results)