2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25750136
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
熊崎 美枝子 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (70358430)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 劣化 / 煙火 / 湿度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、煙火組成物として過塩素酸アンモニウムと塩化マグネシウムの混合物を用い、水分のある環境下における劣化機構の解明と、それによる物理的変化の評価を目的とした。煙火組成物は火薬類であり、熱などによって容易に爆発し多くの事故を起してきた経緯などから、劣化過程の把握は煙火の挙動を制御し、安全な取扱いをする上で重要な意義があるといえる。さらに、わが国の気候を考慮し劣化に影響を与える外部環境の中でも湿度について着目した。 平成27年度は前年度に条件調整・整備を行った調湿環境を利用し、劣化による変化の分析を行った。外観・密度調査では,走査電子顕微鏡を用いた表面観察を実施し、調湿環境下での貯蔵の結果、表面に樹状生成物が確認された。調湿環境下での貯蔵による重量変化は、可燃物(マグネシウム)のみを貯蔵するより過塩素酸アンモニウムとの混合物にすることにより増加速度が増大することから、過塩素酸アンモニウムが吸湿性の主たる原因と考えられた。また、貯蔵後に乾燥過程を経た試料の測定から、水分吸着のみならず空気中の水分との反応による不可逆的な変化が発生することがわかった。貯蔵中には体積・密度変化が観察され体積膨張速度より吸湿による重量増加速度が大きいことがわかった。光学顕微鏡による観察から体積膨張によるクラック発生が見られ、ビッカース硬さ試験機から石英と類似の破壊靱性値が得られた。劣化前後の試料について燃焼試験を実施し、組成の変化による燃焼速度・燃焼温度の変化が見られた。 生成物分析については、分光分析により水酸化マグネシウムの精製が確認された。吸湿後試料の熱による分解は、吸湿前の試料よりも発熱量の低下・発熱開始速度の上昇が見られた。一方、反応に含まれる過塩素酸の還元過程の可能性を検討したところ、酸性条件下では過塩素酸の還元過程が存在することが示唆された。
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Research Products
(4 results)