2015 Fiscal Year Annual Research Report
悲鳴発声時の声道特性の解析と悲鳴検出システムへの応用
Project/Area Number |
25750137
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
早坂 昇 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 講師 (50554573)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スペクトルエントロピー / 基本周波数の時間的連続性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度前半 昨年度までに行った声道特性を利用した悲鳴検出手法の検出精度をさらに向上させるべく,スペクトルエントロピーの導入を行った.スペクトルエントロピーは,入力信号の音圧レベルに依存せずスペクトルの形状を表現する特徴の1つであり,値が大きいほど白色性が高い.昨年度までに構築した悲鳴データベースの基本周波数を解析したところ,最も低いもので約700Hz,90%以上の悲鳴が700-1500Hzに分布していることが判明した.このことから,悲鳴のスペクトルは,その倍音成分を含めても,疎らにしか存在せず,スペクトルエントロピーは雑音や通常発声に比べ低い値を示すことがわかった.雑音下を想定した悲鳴検出シミュレーションの結果,スペクトルエントロピーの導入は有効であることが確認された.本成果の一部は9月に行われた国際会議,12月で行われた研究会にて口頭発表を行っている.
2015年度後半 昨年度,Android OS上で動作する悲鳴検出アプリケーションを開発したが,その実地試験を様々な環境で行った.その結果,スマートフォン等から発生する幾つかの着信音により,頻繁に誤検出することが確認された.これらの着信音のスペクトル分布を観測したところ,悲鳴と非常に似た性質を持つことが明らかになった.これに対処するため,基本周波数の時間的連続性に着目する手法を検討した.着信音は人工的に作成されているため,全く同じ基本周波数の音が連続的に発生する.一方,悲鳴は人間が発話しているため,全く同じ基本周波数で発生し続けることは困難である.この性質の違いを利用した結果,一部の着信音による誤検出を軽減することに成功した.しかし,着信音の種類によっては比較的早い周期で音が変動するものもあり,さらなる改善が必要である.
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