2014 Fiscal Year Research-status Report
爆発防止モニタリングシステムのための多点非接触型マルチガスセンサの研究
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25750140
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
由井 四海 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (10413759)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レーザーガス計測 / 波長変調法 / 火災・爆発防止 / 酸素ガス計測 / 非線形波長変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラントなどの大規模設備におけるガス爆発事故を防止するための多点、非接触型マルチガスセンサの研究を目的とする。本年度は昨年度に構築されたシステムをもとに、波長変換素子を使用した場合での波長変調法の変調条件と測定系・光学系ノイズについて検証を行った。変調周波数と周波数偏移(変調の深さ)を変化させて測定系のノイズを測定した結果、変調周波数に対して反比例、周波数偏移が大きくなると比例する傾向を示すことがわかった。この変調周波数は次年度に計画されている高速測定方法の検討の際にも利用される。一方の光学系のノイズについては、周波数偏移によってその大きさが変動し、かつ波長によっても変わることが確認された。また、温度に対してはノイズ波形が波長に対してシフトする傾向であった。以上より、1.測定系のノイズは変調周波数を高くすることで小さくできる 2.周波数偏移と光学系ノイズの間には相関が見られない 3.光学系ノイズは温度で位相が変化するため、逆相の信号を足し合わせることで低減が可能 4.測定環境の制約(空間サイズ)がない場合には光学系のノイズ除去について昨年度と同様のデュアルビーム系が有効であることがわかった。 これらの実験で得られた諸条件は、本システムが実使用される場合の利用形態と条件を明確化する際に有用であり、次年度に予定されている研究の基礎的なデータとしても利用される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多点非接触型マルチガスセンサの研究を目的とし、本年度は波長変換光に対して波長変調法を適用する場合の波長変換素子の変調特性とノイズ特性について検証を行った。まず、変調周波数と変調の深さによって変調特性がどのように変化するか測定した。変調周波数を変化させたところ、高い周波数の場合に比べて1kHz以下で吸収スペクトルが小さくなることが確認されたが、検証の結果これは測定系に起因するものであり、変調周波数が変調特性には影響を及ぼさないことがわかった。同様に変調の深さを変化させたところ、吸収スペクトルについては理論計算と同じ傾向が示されが、ベースライン上の干渉ノイズの大きさが変調の深さによって変わることが確認された。次に、波長変換素子のノイズ特性の測定を行った結果、ノイズ成分は前述の干渉ノイズが測定系ノイズに比べて10倍以上大きく、変換素子においても発生していることがわかった。以上より、変調特性である変調周波数と変調の深さについては従来の波長変調法の理論をそのまま利用可能であるものの、ノイズ特性については従来法で生じるノイズに重畳する形で出現することがわかった。このように、研究年度計画の内容が実施され、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画案の通り、次年度では高速測定および長期安定性の実現を目指す。目的:短応答時間の実現と測定の長期安定性を両立させる手法を検討する。内容:ガスの吸収を測定する場合、吸収プロファイル全体を測定する場合と吸収プロファイルにおける最大吸収値を測定する場合の2通りがある。全体を測定する場合は、吸収最大の点を確実に測定できるが、測定に時間がかかる。一方、吸収最大値を測定する場合は、高速測定ができるが、波長のずれが直接測定値に影響するため、波長のロックが必要となる。これら2方法の長所を生かした方法の検討を行う。方法:最初に吸収プロファイル全体を測定する方法で実験を行い吸収線の形状を確認する。その後、これまでに報告されている波長ロック手法が適用可能か検討を行う。また、波長ロックが長期の測定にどのように影響するか検証する。さらに、吸収線の形状は温度で変化することが考えられ、これが波長のロックと長期安定性にどのように影響を及ぼすか調査する。研究計画の変更あるいは研究遂行上の問題点は特に無い。
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Causes of Carryover |
為替変動等の理由により物品の価格が申請時よりも低くなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光学部品、電気電子部品等の消耗品に割り当てる。
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Research Products
(1 results)