2014 Fiscal Year Research-status Report
地震ハザード情報を活用した巨大地震の経済被害予測手法の開発と応用に関する研究
Project/Area Number |
25750144
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山崎 雅人 名古屋大学, 減災連携研究センター, 寄附研究部門助教 (60628981)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 応用一般均衡モデル / 南海トラフ巨大地震 / 災害の経済被害 / 経済シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、昨年度の「全国8地域23部門モデル」に続き、「47都道府県20部門モデル」を開発し、東日本大震災で生じた経済被害の再現研究を実施した。一連の再現研究を通して、応用一般均衡モデルの活用可能性の検討と今後の研究課題の整理を行った。また南海トラフ巨大地震の経済被害評価に向けて、地震動や津波浸水等のハザードと企業の操業停止割合の関係をモデル化した「一次生産被害推計モデル」の開発にも着手した。 東日本大震災の再現研究から明らかとなった応用一般均衡モデルの課題は以下の通りである。 1)震災の発生月に大きく落ち込み、その後緩やかに回復する傾向はシミュレーション可能である。また非被災地等における代替生産もシミュレーション可能であり、実際の鉱工業生産指数の再現性から、災害の経済被害に対する応用一般均衡分析の活用可能性は高い。 2)東日本大震災の際に、中部地方で確認された生産の落ち込みのタイムラグをいかにモデルで捉えるかが課題である。標準的な一般均衡モデルでは商品の需給は伸縮的な価格調整により常に一致するため、在庫は生じ得ない。そのため更なる理論的研究が必要である。 3)再現研究から「地域間交易の代替の弾力性」の推定を行ったが、今後も多方面から推定研究を進め、パラメータの性質を明らかする必要がある。応用一般均衡分析の研究課題は産業連関表から推定できないパラメータ(各種代替の弾力性の値)をいかに推定するかにある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地震ハザード情報を応用一般均衡モデルに適切に入力する上では、応用一般均衡モデルの地域分類が詳細である方が望ましい。今年度は以上の問題意識に基づき、全国47都道府県間産業連関表を作成し、47都道府県20部門動的応用一般均衡モデルを開発した。これにより「南海トラフ巨大地震」のハザード入力が詳細に行うことができる。また地震ハザードと企業の操業停止確率を関連付ける一次生産被害関数の統計学的推定を本格的に開始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度以降の研究方針は、引き続き全国47都道府県20部門モデルの開発と「南海トラフ巨大地震」の経済被害評価及び防災減災策の費用対効果分析を行うと同時に、更なるモデルの精密化を進める。2015年度より全国を「全国幹線旅客純流動調査」における207の生活圏を地域分類とし、交通ネットワークや土地利用変化を考慮した応用一般均衡モデルの開発を試みる。また地震ハザードと企業の操業停止確率を関連付ける一次生産被害関数の統計学的推定を進める。
|
Research Products
(7 results)