2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25750148
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小花和 宏之 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 特任助教 (10422205)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海岸侵食 / 地盤沈下 / 南海トラフ巨大地震 / リスク評価 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、南海トラフ巨大地震に起因する地盤沈下による陸域の沈水を含む海岸侵食リスクの評価である。その評価手法として、地盤沈下に起因する海岸侵食量予測式を利用するが、本年度はまずその予測式の有効性を検証した。 東北地方太平洋沖地震により広範囲に発生した地盤変動と海岸侵食に着目し、既存の地盤沈下量と海岸侵食量の関係式の有効性を検証したところ、海岸の立地、砂浜の状況、海底の状況といった条件が適切な砂浜海岸に限れば、ばらつきは見られるものの既存の汀線後退量の予測式は実測値と整合関係にあることが判明した。しかし、計算に用いる各種海浜地形パラメータは計算結果である汀線後退量の値に±数10%以上の影響を与える可能性があり、検討対象とする個々の海浜形状を正確に把握する必要性が明らかとなった。 近年、高密度かつ高精度な標高データの取得方法としてレーザ測量が用いられており、従来の計測手法に比べて得られるデータの点群密度がはるかに高くなり、広範囲に渡って地形や植生を詳細に調査することが可能になった。しかしそれらレーザ測量は機材購入にかかる初期コスト、および有人機フライトや膨大なデータの後処理など運用コストが高く、個人の研究者が複数回実施することは現実的に難しい状況である。 そこで研究代表者は、小型無人航空機および小型カメラを用いた空撮、およびSfM(Structure from Motion)ソフトウェアを用いた、新たな航空測量手法を開発した。新手法はその機材の安さとコンパクトさ故にフィールド適応性が高く、また高頻度観測も可能である。海岸地形の詳細な把握(正確なパラメータの取得)および台風や津波と言ったイベント時の地形変化を迅速に計測することが可能となるため、今後強力なツールとなることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は【海岸侵食量予測式の改善】および【沿岸環境データの収集】を実施する予定であった。前者の予測式に関しては東北地方太平洋沖地震の事例を通して詳細に検討することが出来た。一方、後者のデータ収集に関してはあまり進展が見られなかった。しかし、データ収集に有効な新測量手法を開発することが出来たので、今後の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず海岸侵食量予測式の計算に必要なデータを収集する。データ収集に係る労力・時間を削減するために、リモートセンシング技術を活用し、広域の土地利用解析や詳細DEMの作成を実施する。次に、海岸侵食量予測式に収集したデータすなわち海岸地形の特性(海岸構成物質、海浜勾配など)、波浪条件、南海トラフ巨大地震に起因する地盤変動量の推定値を代入し、海岸侵食範囲を推定する。また、研究成果は随時国内外の学会で発表し、また学術雑誌に投稿する。それらの成果発表活動により、研究成果の社会還元・貢献に資するのみならず、他の研究者との積極的な意見交換を通じて最新の研究成果を取り入れ、本研究内容・計画の向上に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度に予定していた学会発表をH26年4月に実施することとなり、H25年度に計上していた旅費をH26年度に移動するため。 H26年度への繰越額はH26年4月に執行予定(海外における学会発表)であり、当初の使用計画からの大きな変更は無い。
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Research Products
(7 results)