2014 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害からの被災者の復興過程に関する「復興曲線」を用いた縦断的研究
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25750150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 匠 京都大学, 防災研究所, 研究員 (80646711)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 災害復興 / 復興曲線 / 東日本大震災 / インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も東日本大震災の同一被災者への復興曲線インタビューを継続して実施した。本年度以前にすでに実施しているインタビュー結果とあわせて、経年変化について分析、考察した。その結果、東日本大震災の被災者の中には、物的復旧で補償可能な損失に対して、かけがえのないものを失ったという意味での喪失を補てんする存在として、ボランティア等の外部支援者とのかかわりがあることが示唆された。これらの研究結果は、日本グループ・ダイナミックス学会、日本質的心理学会、日本自然災害学会、日本災害復興学会において発表した。また日本質的心理学会が発行する査読付き学術誌である「質的心理学研究」において、本研究の途中経過が掲載された。さらに、26年度は、阪神・淡路大震災から20年という節目の年であったが、朝日新聞と神戸新聞が、震災20年にかかる特集において、本研究が提案する手法である「復興曲線インタビュー」を採用し、20年間の被災者の動向をとりまとめた。これらの点から、本研究が提案する手法の応用事例が広がっていることがわかる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の部分でも既述したように、阪神淡路大震災20年の特集で本研究が提案する手法が採用されたことは、当初の研究計画の段階では予想しなかった事柄であり、本研究の適用可能性を示唆する実績となった。よって、本研究は、当初の計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
既述したように、本手法を採用して、阪神・淡路大震災の被災地でもインタビューが実施されたことから、今年度以降は、本手法を採用して被災者への聞き取りを行った人たちが集まり、それぞれのインタビュー内容や本手法そのものへの議論を深めるような場をつくることで、研究のさらなる進展を図りたい。
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Causes of Carryover |
インタビュー対象者の予定の調整がつき、インタビューに係る旅費が当初の想定よりも少なくて済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究実績の部分で既述したように、東日本大震災以外の被災地での適用事例も増加しているため、他事例との比較分析を行うための旅費に充当する。
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