2013 Fiscal Year Research-status Report
抗炎症作用と皮膚バリア機能を有する新規アトピー性皮膚炎治療デバイスの創出
Project/Area Number |
25750156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
下畑 宣行 立命館大学, 生命科学部, 助教 (30419709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 抗炎症抑制 / 皮膚バリア機能 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎 (Atopic dermatitis, AD) は自己免疫疾患の1つで、再燃と寛解を繰り返す難治性疾患である。治療法として用いられる外用薬には副作用があるとされているものもあり、安全かつ効果の高い治療薬の開発が求められている。本研究では、易感作性系統のマウスにダニ抗原を反復塗布することでAD様症状を呈するマウスを作製し、抗炎症作用及び皮膚バリア機能を有する候補治療デバイス (候補物質A及び候補物質Bの混合材) を塗布することでAD症状の抑制効果を検討する。 本年度においては、1. 候補物質の炎症抑制作用の解明、2. 候補物質の皮膚バリア機能補助効果の評価、3. ADマウスモデルを用いた候補物質の有効性評価を実施した。 1. に関しては、炎症細胞 (マウスマクロファージ細胞株RAW264.7) において酸化ストレスを誘導して炎症を惹起し、候補物質A存在下でのMAPK経路の活性化の程度を評価した。2. においては、低分子化合物によって惹起される皮膚傷害に対して、候補物質Aが有効かをex vivo試験 (培養皮膚) によって解析した。3. においては、ADマウスモデルにおける耳介肥厚を指標にして、候補デバイスの有効性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症細胞を用いて解析した結果、候補物質Aは酸化ストレス誘導時のMAPK経路の活性化を抑制することが分かった。以前の研究において、候補物質Aが炎症反応誘導時のNF-κB経路を抑制することが明らかになっており、候補物質Aが複数の経路に関連する広範な炎症抑制効果を持つことが示唆された。また、候補物質Aが低分子化合物による皮膚傷害性を抑制することもわかり、候補物質Aが皮膚バリア機能を補助する作用をもつことも示唆された。さらに、スプレー噴霧式治療デバイスを作製して、マウスモデルにおけるAD様症状に対する有効性を確認した。その結果、本デバイスを用いることによって、AD症状の寛解までの期間が短縮されることなどが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において検討を開始した、マウスモデルを用いた候補治療デバイスの有効性評価を継続する。耳介肥厚などを指標とした形態学的解析に加えて、組織学的解析や掻破行動を含む行動解析を実施する。また、本デバイスの単独の有効性評価だけでなく、AD治療の現在の主流であるステロイド薬との併用に関しても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画は順調に推移したが、業者のキャンペーンなどを利用することによって、試薬などを安く調達することができたため。 実験規模を若干拡大して行うことを計画しており、その拡大分に充当する予定である。
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