2014 Fiscal Year Research-status Report
抗炎症作用と皮膚バリア機能を有する新規アトピー性皮膚炎治療デバイスの創出
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25750156
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
下畑 宣行 立命館大学, 生命科学部, 助教 (30419709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 炎症反応抑制 / 皮膚バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎 (Atopic dermatitis, AD) はアレルギー性疾患の1つであり、幼年者や若年者層を中心に再燃と寛解を繰り返す難治性疾患である。ADは強い掻痒を伴い、掻破行動による皮膚バリア機構の破壊は最大の増悪因子とされている。治療法としてステロイドや免疫抑制剤の外用が適用されるが、症状の程度によって寛解までに長期間を要する場合には副作用の発生確率が高まり、その情報は患者による薬物療法忌避を助長しているとされる。従って、安全かつ効果の高いAD治療薬の開発が求められている。 本研究では、易感作性系統のマウス (NC/Ngaマウス) にダニ抗原を反復塗布することでAD様症状を惹起させた後、抗炎症作用及び皮膚バリア機能を有する複合型候補治療デバイス (候補物質A及び候補物質Bの混合材) を塗布することで症状の抑制効果が得られるかを検討する。 本年度においては、前年度に引き続き、1) ADマウスモデルを用いた複合型候補治療デバイスの有効性評価、2) 治療デバイスの構造状態の解析、を実施した。1) に関して、本年度においては、ステロイド剤との併用を新たに検討項目に含めた。 1)に関しては、候補治療デバイスを処置したADマウスモデルにおいて、ステロイド処置停止後の症状の再燃、増悪が顕著に抑えられることが明らかとなった。また、ステロイド治療期間の短縮効果もあることが判明した。候補治療デバイスには、ステロイドとの併用によってその効果を高め、また寛解を早めることでステロイド使用期間・使用量を減らす可能性があることが示唆された。2) においては、候補物質Aと低分子化合物とを凍結乾燥することによって、分子間相互作用が形成されることを分光学的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルにおけるAD様症状に対する有効性を確認した結果、本デバイスを用いることによって、ステロイド使用時の副作用を顕著に軽減できることが判明した。さらに、候補物質Aと低分子化合物とを凍結乾燥を行うことで各物質間に分子間相互作用が形成されることも分光学的手法によって明らかにされた。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルを用いた候補治療デバイスの有効性評価を継続する。本治療デバイスはステロイド剤との併用によって、より高い効果を発揮することが明らかになったため、特にステロイド薬との併用を中心にして検討を行う。局所部位を採材して組織切片を作製し、炎症精細胞やアレルギー性炎症マーカーを染色することによって組織学的解析を実施する。さらに、三次元培養皮膚を用いたex vivo解析や培養細胞を用いたin vitro解析を実施して、本治療デバイスの作用メカニズムを解析する。
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Causes of Carryover |
本年度は、業者などのキャンペーンなどを利用することにより、試薬などを安く調達することが出来たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は最終年度となるため、研究を加速する必要があり、実験補助員を1名雇用することを計画した。その予算として、平成26年度の繰越金を充当する予定である。
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