2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞機能制御のためのマイクロ細胞加振デバイスの開発
Project/Area Number |
25750158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
川島 貴弘 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50378270)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞機能制御 / 機械的振動刺激 / 圧電アクチュエータ / BioMEMS |
Research Abstract |
本研究では,細胞へのナノメートルオーダの微小な機械的振動刺激が増殖や分化といった細胞機能の制御に有効であるとの知見がえられていることから,細胞への微小な機械的振動刺激を実現するための圧電アクチュエータを搭載した細胞機能制御のためのマイクロ細胞加振デバイスの開発を目的とする.本デバイスは細胞への機械的振動刺激を付与するための複数のダイアフラム構造を有しており,細胞への振幅や周波数といった振動条件を網羅的に解析することを可能とし,安全な細胞機能制御技術の確立を目指すものである.得られた成果は以下のとおりである. (1)マイクロ細胞加振デバイスの開発について,Siの深堀りエッチング(DRIE)を用いたダイアフラム構造および駆動部となるPZTアクチュエータの形成プロセスについて検討を行い,提案するデバイスにおいて細胞を加振するための構造が実現可能であることを示した. (2)細胞への微小な機械的振動刺激を実現するため,PZTアクチュエータを形成したダイアフラム上に細胞を配列する方法について検討を行い,誘電泳動を利用することで高効率な細胞配列を実現可能であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初計画においては,マイクロ細胞加振デバイスの開発および細胞を用いた加振実験による検証実験を行うことを計画した.今年度,細胞実験においてキーデバイスとなるマイクロ細胞加振デバイスの開発を行い,Siの深堀りエッチング(DRIE)を用いたダイアフラム構造の形成プロセスおよび駆動部となるPZTアクチュエータの形成プロセスについて検討を行い,細胞を加振するためのデバイスが実現可能であることを示した.また,デバイスの駆動実験を行い,ダイアフラムの振動特性を評価した結果,細胞実験に適用可能であることがわかった.さらに,細胞実験の中で細胞のデバイス上の位置を制御する方法として,当初計画では支柱構造を一体化して支柱間に細胞を捕獲することで配列することを計画したが,電気的な制御方式による細胞配列を検討し,高効率に細胞をデバイス上に配列できたことから,当初のデバイス構造とは異なるが細胞配列を実現できることを示し,マイクロ細胞加振デバイスの開発が行えた.概ね当初の研究計画内容に沿って進行しているが,実際の細胞加振実験への適用が行えていない.これは次年度の計画でもあるため,次年度において,デバイス作製プロセスの更なる最適化と実際の細胞実験への適用を検討する.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では引き続き,PZTアクチュエータの駆動特性の改善などを含めたデバイス作製プロセスの更なる最適化の検討を行うと共に,実際の細胞を用いて振動条件や細胞種間での機械的振動刺激の効果の違いを網羅的に解析を行うための加振実験を計画する.用いる細胞としては,先行研究で用いられているヒト末梢血単核球(PBMC),正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)などや間葉系肝細胞(MSC細胞)を用いた研究では,骨,筋肉のみならず神経細胞への分化誘導の報告がなされていることから,これらの細胞を用いた機械的振動刺激が増殖や分化といった細胞機能へ及ぼす影響について調査を行うことを計画する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の計画当初は,顕微鏡培養装置の購入を計画していたが,実際に開発したデバイスのパッケージング部分までを含めて検討した結果,当該装置ではサイズが不十分であることが分かったため,今年度の導入を見合わせた.なお,今年度は,デバイス開発およびHeLa細胞を用いた細胞配列実験を中心に実施したため,導入遅れによる問題は生じていない. 当初予定していた顕微鏡培養装置の変わりに部品単位で購入して構築することで同様の機能を持たせることを検討する.消耗品費としては,マイクロ細胞加振デバイスの作製に必要となるシリコンウェハ,フォトマスク,半導体プロセス用のガス・薬品類の購入を行うことを計画している.旅費等については,平成26年度は,国内旅費として,成果発表(国内会議 ×1回)および本研究に関連するシンポジウム・研究会への参加(東京日帰り ×3回)を計画している.さらに,海外旅費(国際会議 ×1回)および学会誌への研究成果投稿料(×1回)を計画し,本研究課題でえられた成果を広く世に公開する.また,研究内容と研究成果を広く一般にも公開するために,ホームページの更新や研究成果広報用パンフレット作成を行うなどによって,その成果を発信することも計画している.
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