2013 Fiscal Year Research-status Report
Effect of the size of ligand-conjugated nanocarriers on their accumulation and therapeutic effect in solid tumors
Project/Area Number |
25750172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
CABRAL Horacio 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10533911)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腫瘍ターゲティング / 高分子ミセル / 制がん剤 |
Research Abstract |
100nm以下の大きさのナノキャリアにおいて、その大きさは浸透性の低い固形がんにおいて溢出と透過における律速因子となっており、その総合的な集積性や抗腫瘍効果に影響する。リガンドは固形がんにおいてナノ粒子の溢出や透過を促進または抑制するものであることから、我々はリガンド搭載ナノキャリアの大きさが与える、溢出や透過の過程、さらには抗腫瘍効果の結果への影響を究明した。そのために、我々は制がん剤オキサリプラチンの親錯体 DACHPtを内包したミセル型ナノキャリアを、30、50、70、100nmで調製した。さらに、ミセルの表面を腫瘍ターゲティングのためにcRGDペプチドで適度に修飾を行った。In vitroにおける細胞毒性試験において、全てのcRGD搭載DACHPt/mはさまざまながん細胞に対してアクティブであることが示された。特に、膠芽細胞腫UM87-MGに対してアクティブであり、これはこの細胞がcRGDペプチドの受容体であるαvβ3インテグリンを過剰発現していることに起因する。しかしながら、皮下移植されたU87-MG腫瘍に対するin vivoの抗腫瘍効果の実験では、この腫瘍が血管壁にタイトジャンクションもつために透過性が低いことから、30nmや50nmのcRGD搭載ミセルのみが効果的に腫瘍の成長を抑制し、70nmや100nmの粒径をもつcRGD搭載ミセルは有意な抗腫瘍効果を示すことが出来なかった。さらに、cRGDをもたないミセルでは抗腫瘍効果を全く示さなかった。腫瘍に対するミセルの集積性を調べた結果、30nmや50nmの粒径をもつcRGD搭載ミセルはU87-MG腫瘍に高く集積するのに対し、70nmや100nmのミセルの集積性は低かった。cRGDをもたないミセルではいずれにおいても腫瘍組織に集積することができなかった。in vivo共焦点顕微鏡を用いて観察した結果、30nmのミセルのみが、恐らくはトランスサイトーシスによって、U87-MG腫瘍から溢出し、70nmのミセルは血管内の留まることが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
このプロジェクトは下記のような点によって比較的円滑に進められている。 a. 30nmから100nmの範囲でサイズ制御されたDACHPt内包ミセルを調製するのに成功した。b. マレイミド機能のミセルへの適切な導入を達成した。c. cRGDペプチドをミセルの表面のマレイミド基に結合するのに成功した。d. 全てのミセルは同等の安定性、薬剤放出能、血漿クリアランスを示しミセルの大きさの影響の研究を直接的に行うことができた。e. 単層細胞培養に対するcRGD搭載ミセルの大きさの抗腫瘍効果への影響を評価することで、cRGD搭載ミセルはcRGD非搭載ミセルに比べ効果的であることが明らかになった。f. 皮下移植脳腫瘍に対するin vivo抗腫瘍活性の実験により、50nmより小さいミセルのみが効果的であるといった、cRGD搭載ミセルの大きさの影響を確認することができた。g. 腫瘍集積を調べた結果、50nm以上の大きさをもつcRGD搭載ミセルは腫瘍組織に集積することができず、50nmより小さいミセルのみが高い集積性を示した。h. 30nmの粒径をもつcRGD搭載ミセルのみが70nmの粒径をもつcRGD搭載ミセルと比べて、恐らくトランスサイトーシスにより、脳腫瘍に効果的に溢出、浸透することが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定は以下の見地に関連する。a. 大きさの異なるcRGD搭載ミセルの浸透機構を腫瘍スフェロイドを用いることでin vitroで研究を行う。この研究によりトランスサイトーシス過程や50nm以下のcRGD搭載ミセルの浸透性の向上における情報を得ることが期待される。 b. 大きさの異なるミセルに抗体を搭載する。抗体は腫瘍ターゲティングを促進するリガンドとして広く用いられており、我々は様々な大きさの抗体搭載ミセルを調製しその集積や抗腫瘍活性における効果を究明する。c. in vitroとin vivoにおける、様々な大きさの抗体搭載ミセルの抗腫瘍活性をすい臓がん、大腸がんといった腫瘍モデルに対して評価する。これにより、抗体搭載DACHPtミセルの効果とミセルの大きさの効果に関する重要な情報を得られる。d. 様々な大きさの抗体搭載ミセルの薬物動態を調べる。e. 様々な大きさの抗体搭載ミセルの腫瘍内微小分布を調べる。 f. リガンド部分を変えたナノキャリアの大きさの効果を調べる。これはすなわち、cRGD結合デンドロンや、フェニルボロン酸であり、フェニルボロン酸についてはがん細胞における糖タンパク質のシアル酸を標的することでDACHPt内包ミセルの効果を高めることを我々が近年示している(S. Deshayes, H. Cabral, et al. J. Am. Chem. Soc. 135 (2013) 15501-15507)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗体搭載ポリマー型ミセルの調製のための抗体の購入が遅れているため。 ポリマー型ミセルへの抗体の搭載は今年度中に行う予定である。 ポリマー型ミセルに搭載するための抗体を購入する。 さらに、そのin vitroとin vivoでの抗腫瘍効果を評価する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Cyclic RGD-linked polymeric micelles for targeted delivery of platinum anticancer drugs to glioblastoma through the blood-brain tumor barrier2013
Author(s)
Y. Miura, T. Takenaka, K. Toh, S. Wu, H. Nishihara, M. R. Kano, Y. Ino, T. Nomoto, Y. Matsumoto, H. Koyama, H. Cabral, N. Nishiyama, K. Kataoka,
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Journal Title
ACS Nano
Volume: 7
Pages: 8583-8592
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Intravital Microscopy for DDS Evaluation and Development2013
Author(s)
Y. Matsumoto, T. Nomoto, K. Toh, K. Miyano, H. Cabral, M.Murakami, R. J. Christie, T. A. Tockary, K. Osada, Y. Miura, N. Nishiyama, T. Yamasoba, K. Kataoka
Organizer
The 12th US-Japan Symposium on Drug Delivery Systems (Hawaii, USA)
Place of Presentation
Hawaii, USA
Year and Date
20131216-20131220
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