2013 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質ナノカプセルを用いたMRIナノ造影剤の構築と機能診断
Project/Area Number |
25750176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河野 喬仁 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 特任助教 (90526831)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノカプセル / MRI / 造影剤 / DDS |
Research Abstract |
MRI (Magetic Resonance Imaging)は空間分解能と非侵襲という利点を持つ反面、疾患部位の検出感度が不利な点を有する。本研究では MRI 診断の精度と感度を向上させ、単なる形態診断法とし用いるのではくなく、疾患の機能診断を可能とする新しい MRI ナノ造影剤の開発を目指した。そこでタンパク質ナノカプセルを MRI ナノ造影剤のベースとして様々に機能化し、分子標的により組織・細胞選択性の付与、MRI 造影剤の内包を実現する。このタンパク質ナノカプセルは内孔(径 8 nm)を有する球状構造 体(24 量体、外径 13 nm)を構築することが知られている。本年度はナノカプセルの癌部への標的化を行った。膵癌特異的な iRGD ペプチ (cyclic(CRGDKGPDC)) をカプセル表面に提示し、同時にカプセル内孔へ MRI 造影剤を固定化することにより、膵癌の MRI 撮影による検出を行った。我々はタンパク質ナノカプセルの遺伝子クローニング・大腸菌を使った大量発現系と精製法を確立し、膵癌特異的な iRGDペプチドをこのカプセル表面に提示することに成功した。臨床用 MRI 造影剤であるマグネビストとほぼ同じ分子構造を有する Gd-DTPA を、このバイオナノカプセルの内孔に固定したところ、そのMRI シグナル はマグネビストのおよそ 20 倍近いシグナルに増強されたことを確認した。これはタンパク質ナノカプセルに造影剤を固定したことによって、Gd-DTPA の運動性が制限され、水分子との相互作用が効率的に行われ、シグナルが増強したことによるものと推察される。また、タンパク質型MRI造影剤がiRGDペプチドによって膵癌細胞に特異的に集積し、MRIによって膵癌検出も可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵癌特異的なMRIナノ造影剤のためのキャリア開発の第一段階である標的化およびMRI検出を実施し、ほぼ当初の目標通りの成果が得られた。カプセル内部への造影剤の内包条件、高分子効果を利用したMRIシグナルを増強させる仕組みについても基礎検討を実施している。さらに癌部周辺でのマトリックスメタロプロテアーゼに応答するシステムを計画中であり、当初の研究期間内に達成できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在はin vitroでの培養細胞の評価にとどまっているが、今後、iRGDペプチドの修飾率やリンカーをより効率的なものへ変更し、in vivoの系において、より血中滞留性が高く、特異性の高いタンパク質ナノカプセルを設計・発現する予定である。また、転移性の高い癌細胞においても研究を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では、タンパク質ナノカプセル作製のための試薬や実験動物の消耗品費を計上していたが、平成25年度は研究の初期段階として現有する材料だけを用いて研究を推進することができたため次年度使用額が生じた。 平成26年度ではin vivoにおける性能向上・妥当性評価を行う予定であるため、差額分を含めて実験動物等の消耗品費として研究費を使用する。また,海外および国内の研究成果発表のための旅費として研究費を使用する予定である。
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Research Products
(9 results)