2013 Fiscal Year Research-status Report
高分子超薄膜の裁断化とナノパッチワーク吸着特性を利用した新規癒着防止材への応用
Project/Area Number |
25750178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡村 陽介 東海大学, 創造科学技術研究機構, 講師 (40365408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体材料 / ナノ材料 / 高分子超薄膜 |
Research Abstract |
生分解性高分子を超薄膜(膜厚100 nm以下)に加工すると、ナノ厚特有の高接着性が発現し、物理吸着のみで濡れた臓器表面に貼付できる。しかし、数cm角のサイズをもつ超薄膜は比較的広い界面である主要臓器には貼り易いが、複雑に入組み蠕動する腸管には貼り難い。特に、炎症を伴う腸管吻合術後、蠕動し互いに接触し合う腸管の癒着をいかに防止できるかが課題である。本研究では、超薄膜の“貼り難さ”を解決する革新的技術「微細に裁断化した超薄膜によるナノパッチワークコーティング」を提案し、腸管に対する新しい癒着防止材に応用することを目的とした。 本年度は、[1] 裁断化超薄膜の調製法を確立した。具体的には、数cm角のナノシートはホモジナイザーにて瞬時に裁断化される(約0.18 mm角)ことを実証し、複雑な形状をもつ界面にも水中でパッチワークコーティングできることを明らかにした。[2] 既報(Ohya, S. et al. Biomaterials 26, 655-659 (2005))を参考に盲腸擦過癒着モデルマウスを立ち上げた。擦過盲腸に裁断化超薄膜にてパッチワークコーティングしたところ、癒着を軽減する傾向が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、[1] 裁断化超薄膜の調製法の確立、[2] 盲腸擦過癒着モデルマウスの立ち上げに成功した。従って、研究目的(裁断化超薄膜の癒着防止材としての応用)の達成を目指す初年度は、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、裁断化超薄膜の癒着防止材としてのin vivo評価を中心に研究を推進する。具体的には、前年度立上げた盲腸擦過癒着モデルマウスに裁断化超薄膜のパッチワークを施し、1週間後に再開腹して癒着度合いをスコア化する。この時、臨床応用されている癒着防止材: セプラフィルム貼付群・未貼付群をそれぞれ陽性・陰性対照として癒着防止能を判定する。同時にセプラフィルム貼付に要した処置時間も計測し、ナノパッチワークの貼り易さを実証するためのデータとする。さらに、安全性試験として、腸管擦過創の組織切片観察(HE染色)や血液凝固検査を実施し、炎症反応の有無を見極めると共に、組織修復には影響を与えないことを実証する。
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