2014 Fiscal Year Research-status Report
空中超音波を用いた生体内伝搬速度計測によるin vivo骨評価
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25750184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 慎之介 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80550970)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空中超音波 / パルス圧縮 / 非接触骨評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,踵の形状を考慮した超音波送受手法の改善と手首を透過した超音波の検出・評価を行った. 被験者によるin vivo実験では,踵を透過した超音波の減衰量は100~120 dBと大きく,骨量測定の指標である音波伝搬時間の計測が困難であった.そこで,概算した踵内の固有音響インピーダンスと空気中の固有音響インピーダンスから踵表面での音波の屈折角を算出し,屈折角に対応するように送受波器を傾斜させる手法を考案した.その結果,透過波の減衰量が80 dB程度まで向上し,正確な伝搬時間計測が可能となった. また,手首を透過した空中超音波による橈骨遠位部の非接触評価についても検討を行った.まず,手首を透過した超音波の減衰量を算出し,M系列の次数など適切な送信信号に関する検討を行った.複数の被験者で検証した結果,17次以上のM系列(S/Nの向上:約50 dB)を用いることで十分はS/Nの透過波が得られることがわかった.そして,振動子を走査して計測位置による透過波の変化について検討を行った.手首の形状を3Dスキャナで計測し,透過波のTOFや減衰との比較を行ったところ,手首の表面形状によって透過波の振幅が大きく変化することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで研究では,概ね順調な成果が得られている.踵表面での音波の屈折を考慮した超音波送受手法によって,従来手法である接触型で得られる受信波形と同様の波形が得られるようになった.そのため,非接触型の提案手法においても従来手法と同等の精度で音波伝搬時間の計測が可能となった.また,手首を透過した超音波の検出にも成功しており,提案手法において様々な部位の透過波も検出することができると考えられる.今後は,当初の計画よりスケールの大きな課題である生体内音響特性の非接触計測の実現を目指して研究を進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,生体や海綿骨内の音波伝搬速度計測と振動子走査による音波伝搬速度分布の作成について検討を行う. まず,生体内における超音波の伝搬速度は,超音波振動子間に何も配置しない場合の音波伝搬時間,生体を配置した場合の伝搬時間をそれぞれ計測し,それらの差と生体の幅,空気中の音波伝搬速度を用いて算出することができる.従来の骨量測定では,踵や手首の両側を振動子で挟むため,生体の幅を正確に計測することができるが,提案する非接触型での骨量測定では,なんらかの方法で(可能であれば非接触で)生体の幅を計測しなければならない.そこで,両側の振動子からパルス波を照射し,生体や骨の表面から反射したエコーを検出することで,透過波の計測と同時にそれらの幅を算出する手法を検討する. また,生体内の軟組織,皮質骨,海綿骨などはそれぞれ音波伝搬速度が異なる.そのため,海綿骨内の音波伝搬速度を正確に計測するには,超音波の伝搬経路上に海綿骨が多く存在しなければならない.しかし,体表からの観察によって振動子の適切な位置を決定することは困難であり,定量的に位置決めを行う手法が必要となる.そこで,振動子を走査してそれぞれの位置で音波伝搬速度を測定することで,生体内の音波伝搬速度分布を作成する.そして,得られた分布に基づき骨量測定の位置を決定する手法について検討を行う.
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Research Products
(5 results)