2013 Fiscal Year Research-status Report
聴診支援装置の開発とその評価~耳管通気法における診断支援装置~
Project/Area Number |
25750185
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鈴木 裕 山梨大学, 総合分析実験センター, 助教 (40516928)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体音 / 耳管通気 |
Research Abstract |
耳管通気法とは,耳管咽頭口から耳管内に空気を送り込み,空気が耳管を通過する際に生じる音(耳管通気音)から耳管の状態を診断する手法である.しかしながら,現状では耳管通気音は施行する医師にしか聴診されないため,耳管通気音がデータとして残されず経時的変化を観察することが難しい.また,信号処理によって耳管通気法を定量化することで,診断の信頼性の向上が期待できるため,本研究では患者の外耳道から耳管通気音を録音する装置を開発した. 耳管通気音は録音と同時にヘッドホンに出力される構成とした.これは耳管通気音のリアルタイムでの聴取を可能とし,従来の耳管通気法診断を妨げないようにするためである.併せて,医師が加圧したタイミングも記録するため,圧力センサを用いて圧力の同時計測を行う.また,環境音除去の信号処理に利用する可能性を考慮して環境音も同時に録音を行う.これらの採取したデータの波形はモニタに表示し,その場で確認できる構成とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は耳管通気音採取ハードウェアの作製であった.従来は耳管通気時の発生音を患者の耳とチューブ(オトスコープ)で医師が直結することで聴診する.開発装置ではチューブを使用せず,イヤーチップにマイクを設置する.チューブを使用した構成の録音装置を開発したところ,環境音がチューブを介し録音されるが,マイクロホンをイヤーチップに装着し,電気化(チューブレス化)することで環境音の遮断が著しく上昇することを確認した. 上記のプロトタイプを作製した後,被験者を代表者および協力者を被験者として評価を行った.医師が普段の耳管通気法と同等の治療・診断を行うことが可能か評価し,プロトタイプの構成にフィードバックすることで,採音装置を完成させた.
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Strategy for Future Research Activity |
ハードウェア作製後,耳管通気を必要とする患者の協力を得て,耳管通気音の採取を行う. また,それと耳管通気音と病態を比較し,これらを関係づける解析を行う.医師の経験から,時間周波数解析が有効であると考えられる.これまでに研究代表者は,熟練者の聴診や生体信号による診断支援装置について研究を進めてきた.本研究ではこれらの手法を応用し,医師の診断の定量化に向けて解析を行う.具体的には,時間周波数解析を用いた特徴ベクトルを入力とし,病態ごとに分類されるカテゴリ学習を行うことが有効と考えている.これらの解析から,医師・患者にとって有用な情報を抽出する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力者である東京都立産業技術研究センター服部遊氏との研究打合せが、電話等により十分行え、出張旅費が削減できたため。 次年度に実験装置の電子部品費に使用する予定である。
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