2015 Fiscal Year Annual Research Report
擬似虚血下における末梢神経初代培養細胞軸索内ミトコンドリアの変化
Project/Area Number |
25750207
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
菊池 真 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20404585)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コバルト / ミトコンドリア / 軸索 / 末梢神経 / 初代培養細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
コバルト(Co)はビタミンB12に含まれる必須微量元素である。細胞へ少量のCoを暴露すると、低酸素環境で誘導されるHIF-1aとよばれる因子を活性する。当初、我々はCoによる疑似低酸素刺激が、末梢神経初代培養細胞におよぼす影響についての研究を企画した。しかし、近年、血中Coの濃度上昇が末梢神経障害を引き起こしている可能性が示唆された。このことから、CoはHIF-1aを活性するだけではなく、Co自体が末梢神経に何らかの影響を与える可能性が強く示唆された。そこで我々は、高濃度のCoが末梢神経の軸索および軸索内のミトコンドリアへ与える影響を観察することとした。 ミトコンドリアを蛍光標識した後根神経節初代培養細胞に各濃度(0、200uM、400uM、600uM、800uM)のCoを24時間暴露し、軸索内の輸送ミトコンドリアの数、停留ミトコンドリアの長さを計測した。軸索変性は軸索100umあたりの軸索の膨隆している部分(腫脹)の数を計測した。 その結果、Co濃度の上昇に伴い、輸送ミトコンドリアの数と停留ミトコンドリアのサイズが減少し、軸索腫脹の数が増加した。以上のことより、高濃度の塩化コバルトは軸索内の輸送、停留ミトコンドリアに影響するとともに軸索の変性も引き起こすことが示された。現在、論文投稿準備中である。 また、低酸素環境による末梢神経及びミトコンドリアの動態観察に関しては、低酸素発生装置を購入し、実際の低酸素環境をつくりだし、研究を継続している。
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