2013 Fiscal Year Research-status Report
理学療法学的治療が関節拘縮の進行予防と回復に及ぼす病理組織学的影響
Project/Area Number |
25750229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
小島 聖 金城大学, 保健医療学部, 講師 (30454242)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ラット / 関節拘縮 / 自然治癒 / 寒冷療法 / 関節可動域運動 / 病理組織学 |
Research Abstract |
本研究課題では、実験動物ラットを用いて、物理的手段(関節可動域運動、関節モビライゼーション、温熱・寒冷療法)が関節拘縮の予防に及ぼす影響を解明することと、徒手的治療法(関節可動域運動、関節モビライゼーション)と物理療法(温熱・寒冷療法)の併用効果を明らかにすることを目的としている。 平成25年度は、関節拘縮が治療介入することなく自然治癒で改善するか否かを検討した。具体的には、ギプス固定により拘縮を作製し、固定解除から4、8、16、24、32週間各々通常飼育を行った.その結果、固定解除から6週後には関節可動域は完全に改善するものの、関節構成体の組織学的構造は固定解除から32週後においても器質的な改善に至らなかった。すなわち、一度生じた関節拘縮は自然治癒では改善が期待できないことが明らかとなった。また、関節拘縮の改善を判断する際に、関節可動域測定だけでは不十分であることが示唆された。 次いで、関節拘縮に対する寒冷療法と関節可動域運動の効果を検討した。具体的にはギプス固定により拘縮を作製し、寒冷群、運動群、併用群に分けて介入効果を比較検討した。その結果、実験群と同週齢の対照群に比して治療介入群は関節拘縮の発生が軽減される傾向を得たが、関節拘縮そのものの発生を予防することはできなかった。すなわち、1日20分の治療介入(寒冷療法と関節可動域運動)では関節拘縮の予防が不可能であり、連続した不動化の時間が拘縮を生じされている原因として考えられた。また、関節軟骨の組織学的変化としては、固定による関節軟骨の菲薄化が対照群で認められたのに対して、寒冷群、併用群ではその程度は軽微であった。不動化に伴う局所のうっ血を軽快させた寒冷療法と、関節可動域運動による機械的ストレスが関節軟骨の器質的な改善に貢献したものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関節拘縮が自然治癒にて改善し得るものか検討し、研究成果を当該年度中に学術誌へ投稿した。これについては当初の計画以上に進展している。 寒冷療法と関節可動域運動の併用効果については、現在組織標本を作製中である。また、温熱療法と関節可動域運動の併用効果については、装置の不具合により実験開始が6週間遅れ、治療介入については当初の計画よりも若干の遅れが生じている。しかしながら、自然治癒と治療介入の双方を加味すると、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、ギプス固定により生じた関節拘縮に対して、温熱療法と寒冷療法の物理療法と関節可動域運動の治療介入順序について明らかにすることを計画している。また、前年度に作製した標本を光学顕微鏡にて鏡検し、解析と成果報告を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ギプス固定に使用するギプス、ガーゼ等の消耗品使用量が当初の計画よりも少なく実施できたため、約2千円の残額が生じた。 次年度の研究計画に挙げたギプス固定用の消耗品に加算して使用する。
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