2013 Fiscal Year Research-status Report
適切なリハビリテーション期間の決定に関わる因子の探索的研究
Project/Area Number |
25750239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Seijoh University |
Principal Investigator |
飯塚 照史 星城大学, リハビリテーション学部, 講師 (50581667)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 橈骨遠位端骨折 / リハビリテーション期間 |
Research Abstract |
整形外科領域におけるリハビリテーション期間は関節可動域や筋力などの医療者側による客観的指標を用いて判断されてきた.しかし,近年の患者における主観的困難感を指標とした研究では疾病を原因とする日常生活への影響について,医療者側と患者側での乖離が明確となり,客観的指標のみをもって治療の継続要否を判断する事は合理性に欠けるものとされている.本研究の目的は,幅広い年代で処方される頻度が高い橈骨遠位端骨折患者を対象に,患者満足度が高くかつ費用対効果の優れたリハビリテーション期間を明らかにすることである.平成25年度は,3年計画の初年度にあたり所属研究期間データベースを基に,患者立脚型評価と客観的指標の関連について後ろ向き研究を実施した.患者立脚型評価については,患者自身が“良くなった”あるいは“悪くなった”と感じる最小の変化(MCID;Minimal Clinically Important Difference)を基準とし,客観的指標(関節可動域,握力)との関連性から適切なリハビリテーション期間を検討した.その結果,リハビリテーション開始時期は可及的早期,かつ客観的指標である握力,尺屈可動域(手首を小指側に曲げる運動)のみが術後8週まで影響しており,術後12週への関連性は認めなかった.先行研究から客観的指標は日常生活での使用により1年から10年程度の幅をもって緩徐に改善することが報告されている事を鑑みると,適切なリハビリテーション期間は術後8週程度であり,握力あるいは尺屈可動域が有効なアウトカムである事が示唆された.しかし,先行研究で患者立脚型評価への影響が指摘されている心理学的因子,あるいは患者側の満足度については本研究での検討対象ではなかったため今後前向き研究にて明らかにする予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の目的であった後ろ向き研究については学会発表を実施したが,論文投稿が遅れている.これに伴い,平成26年度における前向き研究計画策定に並行して取り組んでいるがやや遅れが生じている.したがって,8月頃までには倫理審査を通過し研究開始と計画を修正した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の根幹となる多施設データについては所属研究期間でのデータベース化を予定しており,効率的な研究進行が期待できる.また,研究計画策定については所属研究期間での月に1回程度の検討を行い,円滑な研究実施に向けて準備を整え,8月には倫理申請を終え前向き研究を開始する予定である.なお,前向き研究における因子データ決定に際しては研究協力者との事前検討を予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度実施研究分についての論文作成に遅れが生じたため,英語論文校閲費の捻出が不要となった.また,当初予定していたデータ集積および解析用PCは,平成25年度研究においては不要であった. 論文作成後の英文校閲に使用する予定である.また,研究代表者の集積,解析用PCのスペックが低いため,円滑な研究進行のために新規購入を予定している.
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