2014 Fiscal Year Research-status Report
ハイリスク新生児の運動発達と育児環境が発達軌跡に及ぼす影響
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25750243
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
澤田 優子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (10637987)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ハイリスク新生児 / 運動発達 / 育児環境 / 発達軌跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
NICU入院歴のあるハイリスク新生児を対象に発達の軌跡を評価し,特徴を明らかにすることを目的として調査を実施した.調査対象は大都市近郊A自治体において平成3年から平成21年に出生した児のうち低出生体重によりNICUに入院歴のある児9名であり,出生時,月齢1ヵ月月,3ヵ月,1歳半,3歳の計5回健診データを後方視的に分析した.調査項目はそれぞれの時期の身体機能の特徴(体重,身長),発達課題の達成度,養育者への気になる点の聴取であった. 対象は男児5名,女児4名,平均在胎週数32w(25~38w),平均体重1474.0g(402~1818g),2500g未満の低出生体重児9名(うち1000g未満1名,1500g未満2名)であった.調査結果より,体重の平均値の推移は,出生時1474g,月齢1カ月2257.8 g,月齢3カ月5138.5 g,1歳半 9.3㎏,3歳12.1㎏であった.身長は,出生時41.2㎝,月齢1カ月42.8㎝,月齢3カ月56.5㎝,1歳半 74.4㎝3歳88.6㎝であった.発達課題で遅延がみられた児は9名のうち,3名であった.3カ月では首のすわりなど.1歳半では言語面での遅れがみられた.また.養育者は発達課題を達成の有無に関わらず発達に関する不安を常に訴えていた.3ヵ月では栄養,運動発達面,1歳以降は言語や友達との関係などの不安が多く聴取された.ただし,養育者の受け入れは1歳半で,安定し,児の発達に合わせて見守る姿勢が確立してく傾向がみられた. ハイリスク新生児発達においては,児の発達軌跡は個別性が高く,発達に遅延がみられる場合も多い.その分養育者の発達への関心や不安も強く,時期に合わせて安定した育児を行い,児の発達を支援する環境を作れるように支援することが重要である.今後,健常児との比較や項目の再分析により,出生時の状況の影響をより詳細に検討することが課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の時点では初年度は計画ではNICU入院中の早期の時点での運動発達の特徴および問題点を明らかにするとともに,スタッフおよび保護者等の関わりを含む育児環境についても明らかにすることを目的としていた.また,ここで得られた結果を次年度の発達軌跡への影響を検討する上での基準データとして用いる予定であった.このため,研究対象をNICU入院中のハイリスク新生児として,在胎週数36-38週時点での運動発達および育児環境及の評価を実施する計画であった.しかしながら,調査対象予定であった臨床機関の協力が得られない状況となり,NICU入院中の児を対象とした,初期からのデータを分析することはできなかった. このため,今年度は調査対象を変更し,研究協力の得られた自治体の乳幼児健診のデータを分析し,NICU入院歴のあるハイリスク新生児の発達の軌跡を,出生時,3か月,1歳半,3歳の4時点で観察することとした.このため,次年度に検討予定であったハイリスク児の発達の軌跡についての全体像を把握することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では今回の調査で実施した対象の健常児の分析を追加するとともに,NICU入院中のフィールドも対象に,詳細な発達評価を行い,より発達の特徴を明らかにしていく. NICU入院中のハイリスク新生児を対象として在胎週数36-38週時点での運動発達および育児環境及の現状を明らかにする.ここで得られた結果を基準データとして,修正月齢1ヶ月,3ヶ月,6ヶ月,1年時点での発達を評価する.発達の軌跡の特徴を明らかにするとともに,前年度に得られた運動発達および育児環境の発達軌跡の影響を検証する. また,初年度に把握した発達軌跡の全体像および健常児のデータも合わせて分析し,より詳細な発達軌跡への影響因子を明らかにする.
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Causes of Carryover |
次年度は調査対象を追加し,NICU入院中の児の運動発達および養育環境の評価を行う.また,今年度研究の追加解析として,健常児データも合わせて再分析を実施する予定である.このため,評価,分析のための費用が発生する.また,成果発表のための費用も発生する予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
NICU対象児への運動発達および育児環境の評価の記録のためのビデオカメラ,発達検査器具,分析のためのパーソナルコンピュータ、解析ソフトなどの機器購入,分析協力者への謝金,研究協力機関および学会への成果発表のための旅費などが発生する予定である
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