2015 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病の前屈,側屈姿勢異常に対する直流前庭電気刺激による評価,介入の試み
Project/Area Number |
25750246
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
岡田 洋平 畿央大学, 健康科学部, 助教 (80511568)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 姿勢異常 / 直流前庭電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は前屈姿勢および側屈姿勢を呈するパーキンソン病患者に対して耳後部皮膚上から微弱な直流電流にて前庭系を刺激する直流前庭電気刺激の即時的な影響について検証することを目的とした。直流前庭電気刺激による影響を客観的に検証するため,直流前庭電気刺激と偽刺激を1週間以上あけた別日に無作為な順序で,被検者には刺激条件をブラインドして実施し,各刺激条件の刺激前後の姿勢変化を評価した。 前屈姿勢を呈するパーキンソン病患者に対して耳後部皮膚上から微弱な直流電流にて前庭系を刺激する直流前庭電気刺激を一定時間実施することにより,開眼および閉眼立位時の前屈角度が有意に改善したが,偽刺激では有意な変化を認めなかった。直流前庭電気刺激前後の閉眼立位時前屈角度の減少量は偽刺激と比較して有意に大きかったが,開眼立位時前屈角度の減少量は刺激条件間で有意な差を認めなかった。 側屈姿勢を呈するパーキンソン病患者に対して,直流前庭電気刺激を一定時間実施することにより体幹側屈角度に変化は認めなかったが,空間に対する頸部の傾斜角度は閉眼立位条件においてのみ有意に減少した。しかし,偽刺激では体幹側屈角度,空間に対する頸部の傾斜角度ともに有意な変化を認めなかった。 以上の結果から前屈姿勢,側屈姿勢を呈するパーキンソン病患者の前庭感覚受容器の反応性は保たれており,直流前庭電気刺激はそれらの姿勢異常を改善する目的でリハビリテーション介入を行う上で有用な補助的手段となる可能性が示された。パーキンソン病患者の姿勢異常に対する直流前庭電気刺激の即時的な影響について検証した報告は国内外に類をみず,パーキンソン病のリハビリテーションにおいてオリジナリティのある有益な情報となると考えられ,その結果を国内外の学会および論文,招待講演にて広く公表した。
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