2014 Fiscal Year Research-status Report
ブルンストロームステージに適合する片麻痺患者支援のための動作解析に関する研究
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25750256
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
遠藤 央 日本大学, 工学部, 助教 (50547825)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ブルンストロームステージ判定 / 複数台RGB-Dセンサ協調 / 複数台RGB-Dセンサキャリブレーション / デジタルヒューマンモデル / 生活支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
【内容】本研究は片麻痺患者の日常生活動作の効率よい把握手法の確立ねらい,3Dデジタル人間モデル(3D-DHM)に基づいた,片麻痺患者のブルンストロームステージ(BS)分類の実現を目的とする.平成26年度は [実施内容①]複数台の3Dレーザースキャナの校正手法および計測データ統合,DHM構築手法の研究開発を実施する.また,[実施内容②] DHMからBS推定手法の実装とその基礎実験をする. 【意義】[実施内容①] 3Dレーザースキャナによるマーカレス動作計測の複数台併用技術は,国際的に提案例が少なく,その設計論などが確立していない.そのため,DHM生成を前提とした複数台協調手法の確立や,システム設計のための諸元調査が必要である.また,DHMは一般的に人間の生理学的な観点を持ち,構築される例は少なく,その構築手法は確立が必要である.[実施内容②] 現状では,医師などにより,経験に基づいた患者の触診や運動試験による症状や状態が診断されている.これをシステムにより定量評価することで,診断を推定するシステムの例は少なく,工学的な知見や学術的な観点からのシステム構築が必要である. 【重要性】[実施内容①] 実際の介護現場で被介護者の動作計測をする場合はマーカレスであることが望ましいものの,現場での住設機器や日用品,動作補助者などによる遮蔽に対処する必要がある.このために,複数点からマーカレス計測情報を統合することで,遮蔽への対応や観測しづらい態勢を推定することが重要となる.また,BS判定には人間動作を再現可能な生理学的DHMが必須である.[実施内容②] 今後,人手不足が確実視される介護現場において,日々変化する被介護者の状態を把握し,適切な補助をする技術開発は必須となると予想できる.センサ計測情報から生理学,工学的に状態推定するシステム,ひいてはそのシステム構築のための技術は重要となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
[実施内容①] 研究の進捗はやや遅れている.昨年度時点で複数台3Dレーザースキャナ同士の干渉の問題を確認し,その解決に取り組んだ.本年度においてはノイズ除去のためのセンサ加振装置の開発と,その詳細な特性調査のための実験を実施した.干渉ノイズを除去した上で複数台計測情報の統合を実現し,統合情報からDHMの構築を自動処理するシステムを構築し,日常動作からのBS推定を実現した. 昨年度課題は解決できたが,遅れを取り戻す成果は得られなかった.そのため,やや遅れていると判断した. [実施内容②] 研究の進捗はおおむね順調に進展している.実施内容①において構築されたDHMから,患者の運動試験に基づきBSを判定する手法である上田法に基づき,BSを自動推定するシステムを構築した.本システムは計測対象者の日常動作を継続的にモニタリングし,その動作の中から上田法試験動作を発見,抽出し,試験項目を確認していくものである. 昨年度設定目標を達成したため,おおむね順調に進展していると判断した. 実施内容②についてはおおむね順調に進展しているが,実施内容①がやや遅れていることと,介護現場での計測が実施に至らなかったことをかんがみて,全体としてはやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
複数台3Dスキャンシステムのブラッシュアップ:平成26年までに開発した複数台レーザースキャナの情報統合技術(干渉ノイズ低減技術,情報統合技術)のブラッシュアップを実施する.特に,ライト・コーディング方式のセンサを用いていたが,人体のような曲面の多い物体の計測に適したタイム・オブ・フライト方式のセンサを用いる事でより高精度な計測を実現することを目指す.また,データ統合においてもレーザースキャナと併設されたカメラ情報に基づきセンサ位置校正をしていたが,レーザースキャナ情報そのものにより位置校正を実現する事で,センサ位置誤差の低減もねらう. カメラ情報に基づくシルエットマッチングによるBS判定手法の開発:上記システムから得られる動作もモデルからDHMを再構築し,DHMを画像レンダリングすることで動作アニメーションを生成する.これを実際のカメラ映像とマッチングすることにより,BSを推定することを目指す.具体的にはCASリサーチ社のDHM生成ソフトウェアCAS stationを用い,参照画像を生成し,それとカメラ映像から抜き出したフレームをマッチングする.DHMの各状態パラメータは,直前のフレームにおける状態量を基準とした確立統計学的手法により推定することとする. BS別DHMデータベースの構築:上記により得られるDHMから特徴量を抽出し,特徴量とBSの相関を生成する.上田法などの実際に用いられている手法からのBS推定では無く,その特徴量とBSの相関を用いてDHMから直接BS判定することを実現する.そのためのデータベースを構築する.データベースを確率統計学的に参照することで,BSを判定することとする.参照データ量が増加させることで,診断の正確さが増すことをねらっている.
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Causes of Carryover |
平成25年度実施内容において,申請時に予定していなかった要素技術開発である複数センサの干渉ノイズ低減に取り組んだ.平成26年度までに追加の要素技術開発に関する研究を完了したが,これにより研究計画が一部変更になった.その計画の遅延により,平成26年度に予定していた予算執行を平成27年度に持ち越すこととした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請時計画に乗っ取り,平成27年度研究計画に記載したシルエットマッチングに係るカメラや計算機の購入を計画している.加えて,システムブラッシュアップのための各種センサ,部品の購入を計画している.また,本年度は最終年度であるため,実地における実験的計測のための旅費,および成果発表に係る旅費の執行を計画している.
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