2014 Fiscal Year Research-status Report
サポート者の気づきに繋げる重複障がい児の状態把握アセスメントツールの開発
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25750262
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
神里 志穂子 沖縄工業高等専門学校, 情報通信システム工学科, 准教授 (00442492)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 視野疑似体験アプリケーション / e-AT機器 / 特別試験学校 / 福祉情報 / アセスメントツール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,教育現場や普段の生活において必要となる通常視野の状態把握のサポートとして,サポート者間で児童生徒の通常視野のイメージを共有できるシステムの開発を目的としている.また,児童生徒の視野の状態把握を行う事で発生する周りの気づきとサポートへの変化,その波及効果の検証を目指している. 今年度は,視野測定器を改良し,顔や目の向きを確認できるようにした.また,視野疑似体験アプリケーションでは,仲介するパソコンの仕事をすべてタブレット端末上で行えるようアプリケーションの大幅な改良を行った.入力する視野データは,特別支援学校からの要望から片目ずつ測ったときと両目を開いて測った時の2 種類のデータ形式とした.新システムで改良した点は,PC を仲介せずにタブレット端末だけでデータ入力,閲覧が可能になった点,視野データを数値のまま扱うためにデータの修正が容易になった点である.視野のイメージ画像は,あらかじめ生成し保存された画像ファイルを呼び出すのではなく,閲覧の機能が呼び出されるたびに視野データを元に動的にイメージ画像を生成し,別の機能に遷移したタイミングで破棄している.このために,視野データの修正をするだけでイメージ画像も修正することができるようになり,更に一人あたりのデータサイズを旧システムに比べて大幅に削減することができた. また,先行研究で作成したアプリケーションは,特別支援学校からの要望から iOS 向けの開発を行っていたが,他の環境でも使用されることを想定しゲームエンジン Unity を用いて開発を行っている.これにより,Android,iOS,Windows などの端末で動作させることができるために,タブレット末端末のOS に依存せずにシステムを利用できるようにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画における達成度に関しては,概ね計画通りに進んでいると考えている.現在,先行研究で作成したシステムの PC を経由することで生じる複数の問題点を解決するためにシステムの再構成,そしてアプリケーションの改良を行った.結果として,問題点を解決したことに加えてアプリケーションをマルチプラットフォーム化することができ,視野の変遷を記録可能にした. さらに,新しいアプリケーションを特別支援学校の先生方に利用してもらい視野測定器を用いることにより得られた結果と疑似体験で確認している視野が,教員が把握している児童生徒の様子とその視野に関する裏付けとなっていることが示唆された. 平成26年度に引き続き視野疑似体験アプリケーションの評価と改良点の確認を行っていく予定である.今年度は,成果の発表を行い,改良点への意見や情報の収集に努めたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
特別支援学校での機器の評価を行えるよう協力して頂いており,近隣の大学との意見交換を1ヶ月~2ヶ月に1度行うように今年度研究打合せを進めている.今年度は,これまでの成果をもとに開発した機器の製品化や波及効果の検証を進める.及効果に関しては,特別支援学校だけでなくお年寄りを対象とした計測などを行い,視野計測機器と疑似体験アプリケーションの利用範囲を広げていけるよう提案する.今年度,さまざまな条件や被験者で計測を行い,データの蓄積を行うことでその結果をどのように利用できるか意見交換をさらに進めていく必要がある.
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Causes of Carryover |
今年度視野計測機器のプロトタイプの作成と視野疑似体験アプリケーションの作成を主におこなっており,検証に必要としていた注視点計測などの計測機器の購入にまでいたらなかった.今後,精度の検証など比較実験などを行い,データの正確さなどを提示できるようにしていく.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
精度の検証などに必要な計測機器に関しては,現有しているモーションキャプチャや注視計測の機器を用いて対応できないか検討を行っている.検証に利用できる部分を確認し,必要なソフトのバージョンアップやデータ記録システムの準備などに予算を利用していく予定である.
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