2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25750270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桐生 習作 筑波大学, 体育系, 特任助教 (80611102)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 起倒流 / 柔術 / 鈴木派 |
Research Abstract |
起倒流柔術は日本でも有数の柔術流派であり、講道館柔道の源流の1つでもあるが、その成立や技術など不明な点が多い。柔道の創始者である嘉納治五郎は柔術を集大成し、近代化することで柔道の普及に成功したが、その一方で日本の伝統武術である柔術の優れた伝統性を継承しようと努めていた。そこで、本研究では嘉納が柔道に継承しようとした柔術の優れた伝統性を明らかにすることを目的とし、起倒流鈴木派の実態について把握する。 平成25年度の研究課題は、起倒流伝書の収集と解読であった。具体的な作業内容は以下の通りである。 ・2013年7月 講道館図書資料室にて講道館所蔵の起倒流伝書5冊の撮影を行った。 ・2014年1月 真田宝物館(長野県松代市)にて「幸貫公関係起倒流柔道伝書二十六冊 同巻物五巻」(以下、真田家文書)の撮影を行った。 ・2014年2~3月 真田家文書の解読を行った。 平成25年度の最大の研究成果は、真田家文書の全ての撮影を終えることができた点にある。講道館をはじめ、他の史料館においても起倒流に関して10点近くの伝書は所蔵されていない。起倒流中期の作品と言われる『登假集』や『燈火問答』なども数冊残されており、講道館や他の史料館所蔵のものと校合することで、より正確に伝書の内容を把握できると言える。また『鈴木家秘神武別伝全』や『起倒流別伝神武柔道秘録』などには「神武」という用語が散見される。鈴木派を知る上でのキーワードが「神武」であり、こうした史料を読み込むことでこれまで不明だった起倒流鈴木派の実態について明らかに出来ると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では平成25年度に真田宝物館所蔵の起倒流伝書を撮影し、解読する予定であった。しかしながら、現在のところ史料収集を終えたのみで、全てを解読するには至っていない。こうした作業の遅れの要因としては、研究代表者の読解力と共に、真田家文書の量が膨大であったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
予想よりも真田家文書が膨大であるため、現在の研究代表者の読解力を踏まえ、本研究に関連のある史料をある程度絞り込んで重点的に読解していきたい。
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