2014 Fiscal Year Annual Research Report
運動の構造的理解と相互作用技術の習得を意図した大学授業と教育実習の連関
Project/Area Number |
25750274
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤田 育郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (90608027)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教員養成カリキュラム / 実践的指導力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本実施課題最終年度の平成26年度は,体育授業において,子どもが運動を感覚的に理解したり,運動課題を解決するためのイメージを膨らませたりすることができる「指導ことば」に着目した。教員養成段階の保健体育専攻学生が考え得る「指導ことば」の特徴を明らかにすることを目的とし,教員養成カリキュラムの一環として実施した模擬授業を分析の対象とした。 模擬授業におけるリフレクション課題の一環として,受講生に考案させた具体的な言葉かけの内容を分析し,時間的経過に伴う言葉かけの変容と運動領域別にみた言葉かけの特徴について考察を行ったところ,以下のことに言及できる。 1)映像を視聴して言葉かけを行うといった課題を繰り返し遂行することは,「指導ことば」に対する視点を育むにあたって有効に機能していたものと考えられる。2)投動作や捕球動作,打撃動作のように,物や道具を扱う運動では,擬音語による「指導ことば」を用いる傾向がみられた。3)ハードル走のように,動きの達成度を高めていく運動では,動きを随伴的に引き出す「指導ことば」を用いる傾向がみられた。4)マット運動のように,新たな動きを獲得・形成する運動では,比喩による「指導ことば」を用いる傾向がみられた。5)投動作や打撃動作,ハードル走では,運動観察の対象となりやすい主要局面を取り上げた「指導ことば」が多いという特徴がみられた。 なお,子どもの感覚に訴えかけたり,運動課題の解決に向けたイメージを膨らませたりする,より有益な「指導ことば」を生み出すためには,運動経験や指導経験,運動の構造や感覚の理解の度合いに左右されると考えられる。今後は,その点を踏まえた分析・考察を行うことが課題となる。
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