2013 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ行為者の性格構造形成に影響を及ぼすスポーツ組織研究‐国際比較を踏まえて‐
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25750284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
笠野 英弘 筑波大学, 体育系, 特任助教 (20636518)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スポーツ組織 / スポーツ制度 / 社会的性格 / 性格構造 / サッカー / 劣等感 / 疎外感 / 不安 |
Research Abstract |
本研究の目的は,高度化への偏重がもたらすスポーツ行為者の劣等感,不安,疎外感などの問題を,スポーツ組織が主体的にその構造を変革することで解決することができるというメカニズムを,諸外国の場合との比較を含めて示すことである. 平成25年度は,「サッカー実施者の不安が生成される構造」(笠野,2012)を再検討し,組織(スポーツ組織)と制度(スポーツ制度)の関係や定義を先行研究から明確にした.そして,サッカー行為者の高度化志向という社会的性格(性格構造)が,競技者登録をしていないサッカー行為者の疎外感や劣等感をもたらすという問題を生じさせ,その問題は,日本サッカー協会が創出・形成するサッカー制度に因るものとして解釈できることを示した.この理論的解釈に基づき,まず,日本において対象となるサッカー行為者にインタビューを行い,彼らのサッカー行為に関するライフヒストリーから,対象者の社会的性格(性格構造)の形成過程とその社会的性格(性格構造)が形成される制度的構造の特徴を分析した.また,日本サッカー協会が発行する機関誌により,日本サッカー協会が主体的に創出・形成してきたサッカー制度の制度的特徴を分析した.これらの分析をもとに,「スポーツ組織―スポーツ制度―スポーツ行為者の社会的性格(性格構造)」の構造的関係を解釈して示した. ここでは,これまでスポーツ行為者の個人的な問題として捉えられてきた問題は,スポーツ組織の問題として捉えられるということを示した点に意義があると考える.また,これまで日本では学校体育や運動部という教育のなかでスポーツ行為者の問題が捉えられてきたが,それらの問題をスポーツ組織との関係において捉えた点も,教育からのスポーツの自立というこれからのスポーツにとって重要であると考える. また,諸外国の場合と比較するためにドイツで調査を行ったが,その分析は次年度に行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,平成25年度は,日本におけるサッカー行為者へのインタビュー調査,ライフヒストリー分析,日本サッカー協会の機関誌分析を行い,日本におけるスポーツ行為者とスポーツ組織との構造的連関を分析・解釈した.また,ドイツのサッカー行為者とドイツサッカー連盟関係者へのインタビューも計画通り実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,平成25年度に実施したドイツでの調査結果を分析して,平成25年度に示した日本における「スポーツ組織―スポーツ制度―スポーツ行為者の社会的性格(性格構造)」の構造的関係と比較する.また,計画通り,ブラジルのサッカー行為者とブラジルサッカー連盟関係者へのインタビューを実施し,その結果を分析して,ドイツの場合と同様に日本における構造的関係と比較する.なお,当初の計画に示した通り,平成26年度は主に調査とその結果をまとめることに注力し,分析は翌年度に行うことにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では平成25年度内にドイツでのインタビュー内容をテープ起こしする予定であったが、ドイツへの出張が年度末になり、インタビュー内容のテープ起こしを平成25年度内に業者に依頼することができなかったため、次年度使用額が生じた。 平成25年度内に行なう予定であったインタビュー内容のテープ起こしを平成26年度に行い、その費用として使用する。
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