2013 Fiscal Year Research-status Report
プレッシャー下における知覚-運動系、注意、情動の循環的関係の解明
Project/Area Number |
25750289
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村山 孝之 金沢大学, 保健管理センター, 講師 (20531180)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プレッシャー / 知覚 / 運動制御 / 注意 / 情動 / 不安 |
Research Abstract |
本研究課題では,プレッシャー下における知覚―運動系と注意や情動との関係性を解明することを目的としている.初年度となる本年は,特に空間知覚と運動制御の関係性に着目し,プレッシャーが物体の高さの知覚と運動制御に及ぼす影響を解明するための実験を行った.実験では,黒壁に投影された標的中心を狙って右腕でボールを投球する課題を用いた.被験者(6名)はネット上の半円の的の中心を狙ってボールを正確に投球することを求められた.ネットの高さは9段階用意し,ブロック終了後に知覚した高さを測定した.なお,習得として10ブロック,テストとして1ブロック行い,各ブロックは5試行とした.第10ブロック終了後には,習得よりテストの得点が高い場合や,テストの得点が全被験者中トップであった場合に報酬が与えられるが,0点が出ると累積得点が0になると教示した.習得とテストでは右腕の肩峰,肘,手首の動きの2次元動作解析を行った. その結果,習得からテストにかけて課題得点に著しい低下は見られなかったが,心拍数,プレッシャー得点,注意(意識的処理),注意(注意散漫)の得点が有意に増加した.高さの知覚については,習得からテストにかけて平均1.2ポイント増加する結果が示された.運動制御については,手首の移動距離の標準偏差が減少し,肘関節の角速度が増加する結果が示された.また,重回帰分析の結果,高さの知覚に対して,肩の移動距離の標準偏差,肘の速度の標準偏差が影響を及ぼす結果が示された. これらの結果から,プレッシャー下において上肢による運動課題を遂行する際には,空間知覚,運動制御,注意,情動の変化が生じることが示され,肩の移動距離と肘の運動速度のばらつきが増加するほど空間知覚が課題に不利な方向にシフトすることが示された.したがって,プレッシャー下においても知覚と運動が互いに双方向的な影響を及ぼしている可能性が推察できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理的問題が生じない範囲内で高強度のプレッシャー状況を再現するための教示方法の検討や,測定精度の高い被験者選定や課題設定に当初予定した以上の時間を要したことから,若干の遅れが生じたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
眼の特性により,導入した視線追尾システムによる測定が困難な被験者が多くみられたため,正確な測定が可能な被験者を選定し被験者数を増やす予定である。そのうえで,腕の動きだけでなく眼球運動も含めて知覚や注意,情動との関連性を検討する。
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