2014 Fiscal Year Research-status Report
プレッシャー下における知覚-運動系、注意、情動の循環的関係の解明
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25750289
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村山 孝之 金沢大学, 保健管理センター, 講師 (20531180)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プレッシャー / 知覚 / 運動方略 / 注意 / 視線行動 / 情動 / 不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,プレッシャー下における知覚-運動系と注意や情動との関係性を解明することを目的とした。二年目となる本年は,特に空間知覚と運動方略の関係性に着目し,プレッシャーが刺激提示位置の空間的大きさの知覚と運動方略(正確性か速度か)に及ぼす影響を解明するための実験を行った。 被験者(10名)は,視覚刺激装置のパネル上のランダムな位置に点灯するLEDポイントライトを両手示指で素早くかつ正確に押すことを求められた。本実験は練習ブロック(3ブロック)とテストブロック(2ブロック:テスト1,2)で構成し,各ブロックの試行数(押下数)は60回とした。テスト2はプレッシャー条件とし,テスト1のタイム,エラー数の両方が向上した場合に報酬が付与され,実験ペアよりも両項目が優れている場合は追加報酬を与えると教示した。測定項目は,空間知覚(LED呈示空間),運動方略,注意,プレッシャーの主観的感度,視線行動とした。 その結果,プレッシャーを負荷する前後でパフォーマンスに有意な差はみられなかったが,状態不安,プレッシャーに関する主観的感覚が有意に増加し,試行が進むにつれて緊張感が促進することが示された。空間知覚について顕著な差はみられなかったが,運動方略については10名中5名が正確性と速度の両者を意識し,結果として10名中8名がエラー数を減少させた。さらに,課題遂行中の視線行動に関するエリア解析の結果,視野内における中心エリア,周辺エリア1~3(3ほど外側)の滞在時間(秒),滞在時間(%),進入回数のすべての項目において,テスト2における周辺エリア3の値がテスト1と比較して有意に高い値を示した。 以上のことから,プレッシャー下では正確性と速度の両方に対する意識は高まるが,正確性が優先される傾向があり,そのような運動方略の変化に伴って視覚探索率が増大する傾向があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被験者をさらに増やす必要がある。平成26年度はサバティカル制度を利用して英国にて研究活動を進めていたことから(7ヶ月),当該実験に費やす時間が制限された。そのため,本実験はH27年度も継続し,より多くの実験データに基づいて,プレッシャーが知覚と運動方略に及ぼす影響を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
課題として,プレッシャーの影響が表出しやすい被験者の選定が挙げられる。事前に心理検査等で特性不安の比較的高い被験者を選定し,実験への協力依頼をする予定である。また,視線行動の測定において,眼の特性上,測定が困難な被験者も見られたため,被験者選定の際に注意する。 被験者数を増やすことでより多くのデータを収集し,各測定項目を変数としたときの変数同士の関係性(空間知覚,運動方略,情動,視線行動,パフォーマンスの間の複合的関係)についても分析していく予定である。
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