2014 Fiscal Year Research-status Report
「スポーツと地球環境問題」の概念 ~体育哲学にみる「エコプレー」の位置づけ~
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25750301
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大津 克哉 東海大学, 体育学部, 講師 (70598094)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スポーツと環境 / 持続可能性 / エコ活動の推進 / 環境教育 / 環境啓発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、昨今問題となっている「地球環境問題」について、「スポーツ」という立場からその解決策について検討を試みるものである。例えば、文部科学省では、環境教育・学習の推進として学習指導要領改訂に伴い各教科等を通じて環境問題に関する内容を充実し、体験的な学習を通じて環境についての理解を深められるような内容を重視している。この流れを受けて、保健体育科の体育編「体育理論」でも、新たに「スポーツと環境問題」が取り扱われることになった。しかし、体育・スポーツの分野では、スポーツを通じた地球環境問題へのアプローチについて、環境の変化はスポーツの存在に関わる重要な問題であるにもかかわらず、これまで日本のスポーツ研究の分野において「スポーツと環境」の問題に関する研究はほとんど為されていなかった。そこで、「環境の持続可能性の確保」という点に着目し、教育活動の中で効果的な手段として用いられているスポーツが、問題となっている地球環境問題に対してどのような社会的貢献を果たすのかを明らかにし、今後の可能性について検証、考察を行う。 昨年度から継続してスポーツ界でみられる環境先進事例を渉猟し、国際オリンピック委員会(IOC)をはじめとした各スポーツ競技団体による環境保全活動の取り組みについて実践活動の実際を調査してきた。今年度は、IOCの新しい試みとしてスタートした教育的要素が高い、若者版スポーツの祭典「ユースオリンピック競技大会(YOG)」に着目した。第2 回目の開催となったYOG 南京大会で行われていたスポーツ・文化プログラム(CEP) の中でも環境啓発活動に着目し、会場の視察を通してその実際を把握するとともに問題点を明らかにした。さらに、今後スポーツ界に見られる新たな「スポーツと環境」との関連を検討するための資料を提供することを目的に活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)4月~3月:昨年度から継続してスポーツ界でみられる環境先進事例を渉猟。スポーツ界が環境保全活動に取り組む理論根拠についての検討。その他、資料の収集と分析。 (2)5月:日本オリンピック・アカデミー JOAセミナー (東京) 2013年度に参加した「第10回 体育高等機関教育者及び役員のための国際セッション」の参加報告を行った。主に、ギリシャ・オリンピアで開催された国際オリンピック・アカデミー(IOA)の研修で発表した内容について総括した。 (3)8~9月:第2回ユースオリンピック競技大会(YOG) 視察 (中国・南京) YOG南京大会で展開されたCEPの調査や、大会組織委員会と選手との間に立つヤングアンバサダーとのヒアリングを通じて、大会運営の問題点や課題について情報収集を行った。 (4)12~1月:国際スポーツコンベンション 参加(スイス・ジュネーブ)、国際オリンピック研究センター訪問(スイス・ローザンヌ) ジュネーブで開催された世界最大級のスポーツコンベンションの分科会では、「スポーツ環境と持続可能性」の研究発表会に参加した。そのセクションでは、IOCが中心となって設立したスポーツマネジメント系大学院(AISTS:International Academy of Sports Science and Technology)がスポーツイベントの環境モニタリングに関する発表を行っていた。その後、学院長をはじめ関係者と話し合いの場を設けていただき今後の研究に対するコネクションを築く事が出来た。また、オリンピック研究センター訪問の際には、環境問題を話題にした際のIOC総会やオリンピックコングレスの議事録データを手に入れることができたのは大きな成果であった。
以上の研究計画が順調に進んでいるため、「順調な進展」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度:最終的に文献研究及び実地調査から地球環境問題に対する「体験活動」における「身体的体験」の重要性に関して論考を進め、「感性教育」としての「身体教育」の可能性を探る。そしてわが国の子ども・青少年へのスポーツ振興を促進する上で、今後新たに求められるスポーツを通じた地球環境問題の啓発と実践活動について、モデルプログラムを作成、検証し領域において果たす役割を纏める。
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Research Products
(5 results)