2014 Fiscal Year Research-status Report
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25750302
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
村上 貴聡 東京理科大学, 理学部, 准教授 (30363344)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 審判員 / 心理的スキル / メンタルトレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,スポーツ審判員を対象とした心理的スキルの内容を明らかにし,メンタルトレーニング介入を実施することで心理面の効果的な指導法を考察することを目的に研究を推進している.具体的には,審判員の心理的スキルの特徴を明らかにするために,自由記述調査と面接実施による項目の収集を行う(研究1).次に,審判員における心理的スキルを測定する尺度を開発し,尺度の信頼性および妥当性を検証する(研究2).審判員の心理的スキルに関与する要因,特に審判経験,資格レベル,競技種目などの観点から検討する(研究3).最後に,審判員に対するメンタルトレーニングプログラムを考案し,介入する(研究4). 平成26年度は研究2を実施した.まず,審判員に必要な心理的スキルを評価する尺度を作成するために,平成25年度に得られたデータを基にして,質問項目の作成を行った.なお,項目の作成にあたっては,スポーツ心理学に関する研究を行う大学教員3名によって検討された.その結果,審判員の心理的スキルを評価すると考えられる53項目が作成された.続いて,本調査で使用する項目を選定するために,ハンドボールやテニス,野球など複数の競技種目の審判員約120名を対象に,予備調査を行った.調査対象者の収集においては,複数の競技団体と十分に連携して研究を実施することができた.因子分析を行った結果,基礎的な心理的スキルとして「意欲」および「自信」の2因子,試合場面の心理的スキルが「集中力」,「感情のコントロール」,そして「表出力」の3因子,促進的な心理的スキルが「コミュニケーション」の1因子というように,計6因子を抽出することができた.また,トップレベルの審判員2名と,抽出された心理的スキルの内容に関する意見交換を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
競技団体および審判員の同意を得ることにやや時間を要したため,1~2か月程度の研究スケジュールの遅れはあるものの,予備尺度作成の調査も終わり,研究全体は順調に進展している.また,平成25年度に実施した筆記調査で得られた自由記述のデータをまとめ,論文として投稿することができた.さらに,トップレベルの審判員のインタビュー調査の結果を2015年6月に行われるヨーロッパスポーツ会議(ECSS)で発表予定である.以上のことから現在までの達成度は,「おおむね順調に進展している」と自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2年間において,審判員の心理的スキルの様相を筆記調査とインタビュー調査から明らかにしてきた.今後は,前年度の調査で得られた結果から,公認審判員約300名を対象に本調査を行い,審判員における心理的スキルを測定する尺度を開発し,審判経験や資格レベル,競技種目など審判員の心理的スキルの関連要因についても調査し,その影響を明らかにする.また,作成された尺度の項目を参考にしてメンタルトレーニングプログラムを考案し,公認審判員を対象にメンタルトレーニング介入を実施し,その効果を検討する. さらに,これらの研究成果を論文としてまとめていくとともに,学会や審判講習会などでその成果を広く公表していく.
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Causes of Carryover |
平成26年度に残額が生じてしまったが,本調査の実施可能な各競技団体審判部の講習会が年度始めに行われるため,本調査の実施が次年度に繰り越さざるを得なかったことが大きな要因であった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は,本調査を実施するため,調査票の印刷代,データ入力にかかる費用,調査協力者への謝金などが必要となる.また,得られた結果についてほかの研究者とのディスカッションを行う必要があるので,学会において発表を予定している.スウェーデンにおいて6月に開催されるスポーツ科学会議ではトップレフェリーの心理的スキルに関するテーマで発表申し込みを行い,すでにアクセプトされている.さらに,介入調査を実施するにあたり,調査対象者への謝金が必要となる.
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Research Products
(6 results)