2014 Fiscal Year Research-status Report
異文化圏の日本人選手・指導者に対する心理支援プログラムの開発
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25750304
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
高井 秀明 日本体育大学, 体育学部, 助教 (50586146)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 異文化適応 / サッカー / 遠隔心理支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、異文化圏で苦悩する日本人選手と指導者に対する心理支援プログラムを開発することであり、本年度は前年度に体系化された異文化圏の日本人選手と指導者の課題やニーズに応えるべく心理支援を実践することが主眼であった。 心理支援の対象者は、前年度に研究協力を得たドイツのブンデスリーガに所属するサッカーの日本人選手と指導者であった。なお、本年度は対象者の個々の課題とニーズを考慮したうえで、遠隔心理支援を行なった。特に、異文化圏という環境の中で対象者が競技に対してどのような悩みを抱えているのかについて個別にその構造を解明し、そのデータを遠隔心理支援に活用した。研究代表者は2週間に1回60分の頻度で、対象者とSkypeやLINE、Face Timeを介したインターネット電話によって遠隔心理支援を行なった。なお、対象者には相談中に必要に応じて心理技法を提供し、その主な内容は認知行動療法や呼吸法、自律訓練法、漸進的弛緩法、セルフモニタリング技法であった。 研究代表者は、遠隔心理支援の実施前後で協力者のもとを訪問し、遠隔心理支援による影響をインタビューにより確認した。 さらに、スポーツ選手を対象に遠隔心理支援の活用を思案している専門家とミーティングを重ね、遠隔心理支援の実践に伴う手続きについて検討した。そして、最終年度に異文化圏における日本人選手と指導者に対する心理支援プログラムを完成させるため、事例を積み重ねることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、前年度に体系化された異文化圏の日本人選手と指導者の課題やニーズに応えるべく心理支援を実践することを目的としており、今後、その実践を一般化するために有用な事例を数多く積み重ねることができた。ただし、遠隔心理支援による面接の手続きについてマニュアル化する必要性があることを確認したものの、その点については検討するに至っていない。なお、本研究の対象者である3名の指導者の特徴は、The Asian-South Pacific Association of Sport Psychology 2014においてCultural Views of Self of Japanese Soccer Coaches in the Bundesligaという題目で研究内容を報告した。その際、専門的な見地から一定の評価が得られたのではないかと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究の最終年度である。異文化圏における日本人選手と指導者に対する心理支援プログラムを完成させるため、昨年度と同様にさらに事例を積み重ねるとともに、研究代表者は遠隔心理支援の実施前後で協力者のもとを訪問し、遠隔心理支援による影響をインタビューにより確認する予定である。その後は、これまで蓄積してきた事例をもとに、異文化圏における日本人選手と指導者に対する時系列的側面を踏まえた総括的な心理支援プログラムの作成に入る。そして、最終的には日本人選手と指導者のそれぞれがもちあわせる長所を活かし、世界をフィールドに活動する日本人選手と指導者のためのガイドラインとして公表したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は、使用計画に沿って概ね予定通りに助成金を研究に活用することができたが、少額の余りが生じたため、次年度の研究活動にその額を使用することができればありがたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定通り、次年度の研究費は、前年度と同様に心理支援に関わる旅費と研究協力者への謝礼にその大部分を使用する計画である。
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