2015 Fiscal Year Research-status Report
高速X線撮影を用いた3次元計測と有限要素解析による接地中の足部内挙動の解明
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25750305
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石井 秀幸 立教大学, コミュニティ福祉学部, 特任准教授 (40534730)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 有限要素解析 / 接地 / 足部内挙動 / 医用画像 / 形状抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,瞬間的な衝撃力が足部に作用する着地やスポーツ動作における接地中の足部内部で生じる力学現象を解明することを目的とし,有限要素モデルを作成して,足部内の腱の牽引スピードや腱の材料特性を変化させて着地および走行動作における接地のシミュレーションを行う. 当該年度には,詳細な有限要素モデルの作成方法を確立するために,静的状態での足部のCT 画像およびMRI画像から,足部表面(皮膚),各骨,アキレス腱の3次元形状を抽出した.さらに,この形状データを有限要素ソフトウェアAbaqus/CAE(ダッソー・システムズ社/本研究費で年間ライセンスを延長購入)にインポートすることができた.このように有限要素ソフトウェアAbaqus/CAEにおける有限要素モデルの作成作業に取り組める段階まで研究を推進することができた. 本研究を推進することで,着地,歩行および走行動作の接地中における足部の骨の3次元的な挙動とそこで生じる力学現象を明らかにできる可能性がある.さらにシミュレーションによって足部内の腱の牽引スピードや腱の材料特性が足部の骨の挙動とそこで生じる力学現象に及ぼす影響を明らかにできれば,腱を牽引する筋の収縮力や加齢による腱の材料特性の変化が,着地衝撃応答や歩行・走行動作に影響を及ぼすメカニズムを検討することも可能である.これらの結果は,障害発生予防,パフォーマンス向上,製品開発に寄与する可能性があるという点で意義のあるものと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時に計画した作業順序を変更し,前年度までにまず有限要素足部モデルを試作し,接地現象を再現した.また,この試作モデルを用いてモデルの妥当性検証の方法について検討した.当該年度には,詳細な有限要素モデルの作成方法を確立するために,静的状態での足部のCT画像およびMRI画像から,足部表面(皮膚),各骨,アキレス腱の3次元形状を抽出した.現在は,有限要素ソフトウェアAbaqus/CAEにおける有限要素モデルの作成作業に取り組む段階である. 申請時には,骨をはじめとした各形状を単純化することを計画していたが,足部の機能を再現できる有限要素モデルを作成するためには精度の高い形状データが必要であると考え,形状抽出は大きな労力を要する作業となった.よって,当該年度に実施した形状抽出作業は本研究課題の成否に関わる非常に重要な部分であり,研究を大きく進展させることができたと考える.作業順序を変更したため,当初の研究計画とは単純に比較できないが,作業量を比較するとやや遅れていると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
動作の接地中における足部の動きを,ハイスピードX線装置を用いて撮影し,X線画像にCT画像から抽出した骨モデルをマッチングさせることにより,着地および走行動作の接地中における骨の3次元的な挙動を求める計画であった.しかしながら,ハイスピードX線装置が業者の倫理の都合などで使用不可の場合,モーションキャプチャシステムを用いて計測した足部の位置座標や地面反力データを用い,有限要素解析結果を実験結果と比較することによって,有限要素モデルの妥当性検証を行いたいと考えている. 今後は,足部の内部構造を詳細に考慮した有限要素モデルの作成をさらに進め,モデルの妥当性を確認する.その後,足部内の腱の牽引スピードや腱の材料特性を変化させて接地のシミュレーションを行い,これらの要因が骨の挙動とそこで生じる力学現象に及ぼす影響を明らかにする.
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Causes of Carryover |
平成27年度の直接経費の合計1,226,106円の範囲内で,有限要素解析に使用するソフトウェアを最大限購入した金額1,208,261円との差額として次年度使用額17,845円が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の直接経費は,平成27年度の直接経費のうちの次年度使用額である17,845円である.平成28年度は,学会参加費で使用する計画である.
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