2013 Fiscal Year Research-status Report
女性スポーツ選手の健康問題の予防に向けたストレス関連成長モデルの構築
Project/Area Number |
25750310
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
煙山 千尋 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 講師 (10615553)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 女性スポーツ選手 / stress coping / female athlete triad / stress-related growth |
Research Abstract |
女性スポーツ選手は、勝利することへのプレッシャーや、受傷に伴う不安、人間関係の軋轢などに加え、女性特有のストレス要因も抱えている。例えば、「体脂肪や体重の維持・減少への努力」、「社会的援助不足」、「妊娠・結婚」、「男性と比較して女性のスポーツ参入が困難であること」、「セクシャルハラスメント」などがある。そして、これらのストレス要因が、利用可能エネルギー不足、無月経、骨粗鬆症といった女性特有の健康問題のリスクを高めるという。この女性スポーツ選手において出現率の高い3主徴は、Female Athlete Triad(FAT)と呼ばれ、予防策を講じる必要性が高い。 そこで、本研究では、女性スポーツ選手のFATの発症を予防するための有効なストレス対処方法を考案することを目的とした。具体的には、①女性スポーツ選手のストレス場面での認知的評価及び、ストレスへの積極的対処方略の内容を明らかにし、②女性スポーツ選手がストレス場面で選択した積極的対処方略が、ストレス関連成長(Stress-Related Growth)や女性特有の健康問題の改善、競技パフォーマンスに与える影響性と、その過程についてモデル検証を行うこととした。 本研究の結果、ストレス体験により、「人間的に成長した」、「いい経験をした」などと前向きに捉えることが、ストレス反応の無気力感や対人不信感を抑制することが明らかとなった。また、女性スポーツ選手の競技ストレスモデルを構築し、FATの有無による差異の検討を行ったところ、FATを発症している場合は、競技力が発揮できないことや競技を行う環境に関するストレッサーを知覚すると問題を先送りにする回避的対処を選択しやすく、そのことによりストレス反応を増大させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、女性スポーツ選手のストレス対処とストレス反応との関連を明らかにし、モデル化することを試みている段階である。その結果、ストレス体験を「人間的に成長した」、「いい経験をした」などと前向きに捉えることがストレス反応を抑制する結果が認められた。一方、FATを発症していると、問題を先送りにする回避的対処をしやすく、ストレス反応が増大する結果も示された。これは、ストレス状況下における積極的なストレス対処がストレス低減の観点から有効であり、FATの予防や競技パフォーマンスの向上に寄与することが期待できることから、本研究は順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ストレスへの積極的対処方略の内容をより詳細にし、ストレス関連成長(Stress-Related Growth)と競技パフォーマンスを加えた包括的ストレスモデルを作成する。そして、女性スポーツ選手の効果的なストレス対処方法を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、平成25年度に外国旅費の申請は行っていなかったが、興味深い研究結果が示されたため、計画を変更して発表の機会を増やすこととしたため。 平成25年度に購入できなかった統計ソフト及び資料等は次年度に行うこととしたい。また、より研究を深めるための調査費用に充てたいと考える。
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