2013 Fiscal Year Research-status Report
スポーツを通じた地域活性化:概念モデルの検証と成功要因の分析
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25750311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shizuoka Sangyo University |
Principal Investigator |
大西 孝之 静岡産業大学, 経営学部, 講師 (90549362)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スポーツ経営 / 地域活性化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、①大西(2013)が提示したスポーツを通じた地域活性化の概念モデルを実証的にその妥当性を検証し、②①のプロセスで検証・検討したモデルを用いて、スポーツを通じた地域活性化の状況を定量的に把握し、そして③②のプロセスで明らかとなったスポーツを通じた地域活性化につながった成功要因を明らかにすることであった。本研究で検証するスポーツを通じた地域活性化の概念モデルとは、スポーツを用いた活性化運動を、より包括的な地域活性化計画の枠組みに組み込んだ上で、スポーツを用いた活性化運動を通じて「個人的付加価値」「社会的付加価値」「経済的付加価値」を達成し、地域の定住人口の維持・増加を目指す動きである。 2013年度は概念モデルを定量的に把握するために、スポーツを通じた地域活性化モデルにおける構成概念の測定項目の検討と作成を行った。先行研究のレビューを通じて測定項目の検討を行ったところ、先行研究から導き出された測定項目のみでは本研究における概念を捉えきれないことが判明した。そこで、2014年度にインタビュー調査もしくはフォーカスグループ調査を行うことにより、先行研究では捉えきれなかった測定項目の抽出を図り、妥当性の高い測定項目の作成に努める。そのうえで概念モデルの検証を行う。 また、2013年度にはモデル検証の補足として、「スポーツのまち」とされている市区町村の経済活性度を把握することにより、スポーツにより経済的付加価値が高められているのかを検証した。2次データを用いて「スポーツのまち」とされている15市町村の1人当たり実質課税対象所得、完全失業率、そして就業率の変化を測定したところ、「スポーツまち」が経済的に活性化されているという明確な証拠は得られなかった。つまり、多くの先行研究で指摘されている通り、スポーツによる経済的付加価値の達成は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、スポーツを通じた地域活性化モデルにおける構成概念を測定する項目を先行研究と有識者チェックから2013年度中に作成する予定であった。しかしながら、先行研究のレビューのみでは本研究における概念を捉えきれないことが判明したため、2014年度にインタビュー調査もしくはフォーカスグループ調査を行うことにより対応する予定である。結果として、測定項目の作成に遅れが生じているものの、本研究の根幹に関わる事項であるため、入念かつ細心の注意を払って研究を遂行する。測定項目の作成を今年度前半に終えることにより、研究計画全体の遅延はすぐに取り戻せると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、測定項目の作成のため、インタビュー調査もしくはフォーカスグループ調査を行う。それにより行研究では捉えきれなかった測定項目の抽出を図り、有識者チェックと予備調査を通じて妥当性の高い測定項目を作成する。 また、当初の計画ではスポーツを通じた地域活性化に成功した地域を特定し、その成功要因を明らかにすることが目的であった。しかし、予算の制約からスポーツを通じた地域活性化に成功した地域を特定できほど大規模な調査が難しいことから、地域ではなく個人に着目し成功要因を明らかにする。つまり、スポーツを通じて「個人的付加価値」「社会的付加価値」「経済的付加価値」を達成し、その地域に住み続けたいと考える個人に焦点を当てることにより、地域の活性化の成功要因を明確にする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スポーツを通じた地域活性化モデルにおける構成概念を測定する項目の妥当性の確認のために、有識者チェックを行うため費用を計上していた。しかし、有識者チェックの前提となる測定項目の作成に関して、先行研究のレビューだけでなくインタビュー調査もしくはフォーカスグループ調査を行う必要が生じたため、次年度に有識者チェックを行う予定である。また、次年度にインタビュー調査もしくはフォーカスグループ調査を実施する費用を確保するために、計画していた支出の一部を取りやめ次年度に繰り越した。 先行研究ではカバーできていなかった構成概念を測定するための項目を追加するために、インタビュー調査もしくはフォーカスグループ調査を実施する。その後、測定項目の妥当性を確認するために、今年度予定していた有識者チェックを実施する。
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