2014 Fiscal Year Annual Research Report
姿勢制御に対する恐怖・不安情動と認知活動の外乱作用に関する研究
Project/Area Number |
25750312
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Research Institution | Shigakkan University |
Principal Investigator |
石田 光男 至学館大学, 健康科学部, 准教授 (00443432)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 姿勢制御 / 恐怖・不安 / 視野 / 予期 |
Outline of Annual Research Achievements |
不快画像に直面させると重心動揺振幅の減衰が生じる一方,不快事象到来の予期不安事態では振幅増大が報告されている.このような不快事象と姿勢制御に関する知見の相違に,実験手続き上の違いによって生じる認知的要因が影響していると本研究は予測した.そこで情動要因以外の影響を減弱させた環境下において,不快情動喚起の姿勢制御に及ぼす影響を明確にすることを目的とした. 平成25年度は透過型スクリーンを用いた測定システム環境を構築した.平成26年度は,始めに“視覚刺激の呈示位置が姿勢制御に及ぼす影響”を検討した.視対象が正面に固定した場合,中心視野の刺激が注視を誘導し,動揺振幅を減衰させる可能性があった.そこで周辺視野条件を加え,注視を要しない条件においても重心動揺振幅の減衰が生じるかを検討した.視野(中心,周辺)×情動(快,中性,不快)の2要因計画にて検討を行った.その結果,中心視野では不快画像に対して包絡面積(p < 0.05)と前後方向の偏差(p < 0.01)の増大が生じたが,周辺視野では振幅に変化は認められなかった. 次に“不快事象の予測可能事態が姿勢制御に及ぼす影響”を検討した.上述の実験終了後に再び同じ手続きにて刺激呈示することにより,不快事象到来を予期する事態へと変容する.そこで視野(中心,周辺)×情動(快,中性,不快)×予期(予期無,予期有)の3要因計画にて検討した.その結果,中心視野における不快画像呈示時の前後方向の偏差は,予期有条件にて消失する(p<0.05)一方,周辺視野では反対に増大(p<0.05)した. 本研究は,不快画像による一様な重心動揺振幅の増減は確認されず,呈示位置や到来予期の有無などの認知的要因が影響することを示した.以上の結果は,不快画像観賞時に伴う視対象への視線方向や注意の焦点化などが強く影響する可能性を示唆している.
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