2013 Fiscal Year Research-status Report
ラットを用いた自発運動量の個体差を規定する脳内神経システムの解明
Project/Area Number |
25750335
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
柳田 信也 東京理科大学, 理工学部, 助教 (80461755)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 自発運動 / 運動習慣 / 脳神経機能 / モノアミン / セロトニン / ドーパミン |
Research Abstract |
日常的な自発運動量が少ないことは、様々な健康を阻害する因子と関連性が高いことが示唆されており、自発運動量増加は心身の健康増進のキーポイントであると考えられる。近年、ラットなどの動物においても自発運動量には個体差がみられることがわかり、自発運動量を規定する因子の探索が試みられている。その結果として、いくつかの脳内神経システムの関与が示唆されているが、その差を生み出す決定的なメカニズムは未だ明確なものとなっていない。 そこで、本研究では日常的な自発運動量の異なるラットを用い、自発運動量に影響を及ぼす脳内神経システム、特に関連する遺伝子やタンパク質、神経伝達物質を網羅的に解明することを目的として計画され、本年度は特に脳内神経伝達物質量と自発運動量の関係の解明が行われた。 我々は、同系統のラットにおいても日常的な自発運動量には大きな個体差があり、1日の運動量の平均値+0.5標準偏差以上の走行量を示す個体を高活動群、平均値-0.5標準偏差を下回る群を低活動群としてスクリーニング方法を確立した。このモデルを用いた一連の研究の結果、日常的な自発運動量の多い高活動群では低活動群に比べ、脳内のドーパミン濃度が有意に高いこと、また低活動群では高活動群よりも脳内のセロトニン分泌量が有意に高いことを明らかにした。このことから、日常的な運動量の個体差は、運動によるドーパミンやセロトニンなどの神経伝達放出量のバランスに影響される可能性が示された。この結果は、日常的な自発運動量を規定する脳内メカニズムを解明するための重要な基盤となるものであると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、自発運動量の個体差を規定する脳内神経機構を解明することを目指したものであり、2年間の研究計画の中で、それに関与する脳内遺伝子発現変動と神経伝達物質量を明らかにするものである。本年度は、神経伝達物質量の注目して行われたものであり、全体計画のおよそ半分が終了したこととなるため、時期的に考えても順調な進度であると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、日常的な自発運動量の個体差には脳内のセロトニンやドーパミンなどのバランスが重要な要素であることを明らかにし、研究の大きな一歩を刻んだ。今後のステップとしては、この基盤となる遺伝子発現変動やタンパク質発現を明らかにし、詳細なメカニズムを検討するとともに、これらの脳内因子の変化がもたらす生理学的、行動学的影響を解明し、自発運度量の個体差がもたらす健康影響の解明を目指していく。これらの建久結果を基に、日常的な運動習慣者の増加に向けた生理学的提言を確立していきたいと考えている。
|