2014 Fiscal Year Research-status Report
低酸素環境が運動・回復時における筋内グリコーゲン代謝に及ぼす影響
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25750340
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
大澤 拓也 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (70613496)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 筋グリコーゲン / 低酸素 / 間欠的運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度と異なり、平成26年度は1つの実験を終了することができた。もともとの予定を変更し、実験IIの「間欠的運動」に着目した「低酸素環境が長時間・繰返し全力スプリント運動時における運動パフォーマンスおよび筋グリコーゲン利用に及ぼす影響」を実施した。これは球技系種目を模しており、筋グリコーゲンの利用だけでなく、運動パフォーマンスにも着目して実施していた。 日常的にスポーツを行っている若年男性10名を対象に、自転車エルゴメータを用いた長時間・繰返しスプリント運動(10回*4セット)を実施した。実験条件は通常酸素環境と低酸素環境とした。運動の前後に、炭素磁気共鳴分光法により、大腿部の筋グリコーゲン濃度を評価した。 その結果、運動1セット目、2セット目は両条件で類似した発揮パワーを示したが、3セット目、4セット目では通常酸素環境条件と比較し、低酸素環境条件では発揮パワーが有意に低下した。筋グリコーゲン濃度は運動前から運動後に両条件とも有意に低下し、またその低下率は通常酸素条件の方が有意に大きかった。 これまでの研究では、通常酸素環境と比較し、低酸素環境下では糖質代謝が亢進することが明らかになっており、筋グリコーゲンの低下は低酸素条件の方が大きい可能性があったが、発揮パワーの低下の結果、筋グリコーゲンの低下率が小さくなった。今後は呼気ガスや血液のデータを解析し、関連性を検討する。また、その内容を学会発表および論文投稿する予定である。 当該年度の実施を予定していた実験I「持久性運動」に着目をして実験については現在、再考を行っている。その理由はオリジナリティにあふれ、メッセージ性の強い研究にするためである。この実験の実施は人や時間の負担が大きく、当初予定していただけの実験ではその割に合わず、また先行研究と比較し、インパクトは小さい。そのため、実験Iに関しては再考している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つの実験を終え、多少遅れはあるものの、概ね順調だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在、まとめている平成26年度実施実験を学会発表および論文投稿を行う。また、実験Iである長時間運動に着目した実験については、実際のスポーツ現場に活かせ、オリジナリティがあり、メッセージ性の強い研究にすべく、再検討をしている。自身の分野を深く掘るだけでなく、様々な分野の研究を論文や学会等で学び、自身の見地を広げた上で、新たに実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
実験の実施順序が変更となったため、また予定していた酸素発生装置を購入していないためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次の実験の被験者および協力者の謝金および交通費、血液解析等の費用として用いる。
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