2015 Fiscal Year Research-status Report
低酸素環境が運動・回復時における筋内グリコーゲン代謝に及ぼす影響
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25750340
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
大澤 拓也 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, その他部局等, 研究員 (70613496)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グリコーゲン / MRI / MRS / 低酸素 / 全力スプリント / 睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、炭素磁気共鳴分光法(13C-MRS)を用いて、低酸素環境が筋グリコーゲン(Gly)の利用(実験I)および回復(実験II)に及ぼす影響について検討した。 実験Iでは、低酸素環境が繰返し全力スプリント運動時のパフォーマンスと筋Gly代謝に及ぼす影響について検討した。間欠的運動に慣れている7名の被験者を対象とし、通常(N)または低酸素(H; 吸気酸素濃度15.0%)環境下において、全力ペダリング5秒と0Wペダリング55秒を40回繰り返す運動を実施した。運動時の平均出力および運動前後における外側広筋のGlyが測定された。全力ペダリング時の平均出力はNと比較し、Hは有意に低値を示した。一方、運動前後における筋Glyの低下率はNと比較し、Hが有意に低値を示した。先行研究では、同一仕事量の運動では、低酸素環境は糖質代謝および筋Glyの低下率を亢進させることが報告されているが、本研究の結果、低酸素環境により繰返し全力ペダリング運動のパフォ―マンスが低下し、それに伴い筋Gly利用も低下することが明らかとなった。 実験IIでは、運動後の酸素環境の違いが筋Glyの回復に及ぼす影響について検討した。活動的な若年男性10名を対象とし、N環境下において、筋Glyが平均60%低下する運動を行った後、NまたはH環境下において、覚醒時休息(食事を含む)3時間および睡眠8.5時間を行った。外側広筋のGlyは運動前、運動直後、覚醒時休息3時間後、睡眠7時間後に測定された。運動後に低下した筋Glyは覚醒時休息により回復したが、NとHで有意差は認められなかった。しかしながら、睡眠後にはHで有意に低値を示した。以上より、運動後の筋Gly回復に対して、低酸素環境は覚醒時にはほとんど影響を及ぼさないが、睡眠時には筋Glyの回復を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
酸素環境と筋グリコーゲンとの関連について、「運動時の利用」と「休息時の回復」の双方の研究を実施することができた。当初の予定では、最大下運動時の筋Gly利用を検討することになっていたが、いくつかの先行研究でも検討されていることから、本課題では実施せず、代わりに実験Iおよび実験IIの規模を拡大させた。特に実験IIでは単に回復時の変化を検討するだけでなく、睡眠時の影響を明らかにした点は意義が大きく、当初の予定以上の成果があげられたと考えている。ただ、学会発表や論文投稿には至っておらず、翌年度に実施することになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していた実験は終了したため、次年度はそれらの研究の学会発表および論文投稿を実施する。
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Causes of Carryover |
大きな理由は3点ほどあり、1) 筋グリコーゲンの測定に用いるMRI装置が故障してしまい、当初の予定通りに実験が実施できなかったこと、2) MRI装置の利用時間が診療時間外(早朝、昼、夜)であり、またMRI装置利用者が増加したこと、3) 実験IIの規模が大きくなり、実験開始や終了の遅延が生じたことなどである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度に開催される学会にて発表し、論文投稿を行う予定である。そのため、それらに関する費用(旅費、参加費、英文校正費など)として、研究費を利用する予定である。
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