2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災における心的外傷後ストレス障害の災害発生前危険因子の確立
Project/Area Number |
25750343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
門間 陽樹 東北大学, 医工学研究科, 助教 (90633488)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メンタルヘルス / 筋力 / 生活習慣 / 災害 / 身体機能 |
Research Abstract |
本研究は、東日本大震災発生前から行われている仙台市内の包括的健康調査のデータを用いて、震災発生前の生活習慣、健康状態、身体機能レベル、血中バイオマーカーが、災害発生後問題となる心的外傷後ストレス障害(PTSD)と関連することを明らかにすることを目的としている。平成25年度は、震災発生前の生活習慣、健康状態ならびに身体機能レベルとPTSDとの関連について主に検討を行った。 研究対象者は2010年ならびに2011年に健康診断を受診した仙台市内に勤務する522名とした。生活習慣、健康状態、身体機能レベルは2010年のデータを用いた。PTSD症状については、震災発生後の2011年に評価された改訂出来事インパクト尺度日本語版(IES-R)の総得点を用いて評価し、この得点は総得点が高ければPTSD症状の程度がより重症であることを示す尺度である。2010年の生活習慣、健康状態、身体機能レベルを独立変数、2011年のIES-Rの総得点を従属変数とした重回帰分析によりPTSD症状の危険因子の検討を行った。 その結果、男性においては、震災発生前に脚伸展パワーが低いこと、毎日飲酒していること、抑うつ傾向であること、女性においては、抑うつ傾向であることに加え、高血圧であることがPTSD症状の危険因子であることが明らかとなった。したがって、日常における身体機能の維持・向上が災害時のPTSDの一次予防策になる可能性が示され、また災害発生前の生活習慣や既往歴が災害発生後のPTSDと関連を示すことが示された。 本研究成果は、学会等で発表され、2014年4月3日付けでPLOS ONEに受理された。また、本研究の一部の成果は、明治安田厚生事業団第29回健康科学研究助成論文集にて優秀賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は順調に進展している。その理由としては、当初の計画通り、平成25年度の研究成果が2014年4月3日付けで学術雑誌(PLOS ONE)に受理されたことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、血液中のバイオマーカーとPTSD症状との関連について検討する予定である。当初の予定では、平成25年度中に血液バイオマーカーの測定を実施する予定であったが、該当分野の研究が進むにつれ、当初測定を計画していたバイオマーカー以外のバイオマーカーも測定候補として浮上してきたため、現在のところまだ測定するには至っていない。平成26年度の早い時期にどのバイオマーカーを測定するのがより適切かを判断し、研究計画に支障をきたさないよう研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していた血液中バイオマーカーの測定を次年度に延期することによって生じたものであり、延期した血液中バイオマーカーの測定に必要な経費として平成26年度請求額と合わせて利用する予定である。 平成26年度および未使用額を合わせて、血液中バイオマーカーの測定の実施に使用するとともに、当初の計画通り、学会発表にかかる旅費、論文投稿による校閲料と掲載料に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)