2014 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸がん検診受診促進へのエンターテイメントエデュケーション手法の応用とその評価
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25750347
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河村 洋子 熊本大学, 政策創造研究教育センター, 准教授 (00568719)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エンターテイメント・エデュケーション / ヘルスコミュニケーション / 子宮頸がん検診 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に SKK20(子宮頸がん検診は二十歳から)のチーム名を決定し、活動を展開してきたが、平成26年度は、熊本大学(以下、熊大)大学院生を中心とする学生およびそのメンバーの学外のネットワークを含む20歳代前半のメンバーからなるSKK20Actというチームを形成し、活動を展開。本研究で開発する子宮頸がん検診受診勧奨のターゲットとなる20歳代前半女性に対して、どのようなアプローチを展開していくのが効果的かを検討する上で、子宮頸がんとその検診に関わる課題を理解し、本研究の骨子となるものとしてエンターテイメント・エデュケーションを活用することができるよう講義を提供。 平成26年11月1日熊大学園祭(紫熊祭)で以下3つの複合的な啓発イベントを展開。1)高校生2名を含む4名のアイドルグループを結成し、紫熊祭でライブステージを実施。披露する楽曲の歌詞をメッセージとしてメンバーで検討、プロフェショナルに編曲および作曲を依頼して完成。2)初年度に引き続き、参加することで子宮頸がんやその検診について知識を得る機会となる「脱出ゲーム」を実施。3)地元放送局のアナウンサー村上美香氏の子宮頸がん検診受診勧奨活動と協働し、村上氏の学生向け講演会を開催、熊本県健診センターの協力を得て学内に検診車を導入、子宮頸がん検診を提供。全てのイベントを連携させ、全イベントへの参加者には記念品を贈呈するという仕掛けで実施。 紫熊祭以外の活動では、制作した2楽曲の内、一つについては熊本市内の観光地や行政機関などの各所に協力を得て動画を製作、動画配信サイトで配信。もう一曲についても、アニメーション動画を製作中。アイドルユニットの活動についても講演会などの「一般的な啓発イベント」には参加しないと思われるターゲット層に到達する機会を狙い積極的に参加することとし、この一環として12月1日の熊フェス(アニメの祭典)に参加。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の達成度としては、プログラム開発の部分は計画よりも「データ」に基づくという点では弱いものであるが、教育的な意義がより大きくなりよりも有機的なかたちで進んでいると言える。しかしながら、評価に関して信頼性および妥当性の高いデータ収集が課題であり、今後行政や医療機関との連携を視野に入れ、開発したプログラムの効果の効果を客観的に捉えることができるデータの収集が必要である。 当初計画よりも弱いと思われる「データ」の活用について、開発においては初年度実施したフォーカスグループインタビューやプログラム開発の主体である学生自身とその友人などの意見を基に進め、研究活動に基づくハードデータの要素は弱い。しかし効果的なプログラムを開発するには重要かつ有意義な示唆を提供するものである。評価に関しては、今年度は紫熊祭のイベントへの参加者を対象に質問紙調査を実施したが、回答者は少なく参加イベントによってデータの質が安定しないなどの問題があり活用できなかった。本研究が関与する活動(SKK20Actの活動)は主に熊本市内で展開するものであり、そのインパクトも熊本市内が中心であるが、熊本市のがん検診所管課である健康づくり推進課から、平成26年度20歳代前半の新規子宮頸がん検診受診者数が1,000人程度含まれるという報告を受けたが、受診の動機についてのデータが存在せず本研究では開発したプログラムのインパクトを単体で捉えることが難しい。(熊本市のデータに関しては、6月以降に提供予定。) 一方、本研究の活動における教育的意義は大きな副産物である。研究活動には行政やメディアなど分野の異なる専門家との協働を重要なものとして位置づけている。このような専門家と協働しながら活動を進めていくことは、主体的に関わる学生たちがハンズオンの学びを得る非常に有意義なものとして機能していることを実感している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、今年度に構築した学生主体で企画、実施するというSKK20Actの推進基盤を生かし、エンターテイメント・エデュケーション戦略により、一般的なスキームでは到達できない層への子宮頸がんに関する情報の提供やその検診受診の動機付けの機会を拡大できるプログラムの開発のさらなる開発と深化を進める。 優先度を高める活動は評価に関するものである。この点に関して、前項でも記述したとおり行政や医療機関との連携を強化し、検診受診の動機を確認できるようなデータ収集の仕組みを構築する必要がある。本研究に関するものに限らず、現在熊本市内で展開が活発な各所による子宮頸がん検診受診勧奨に関わる様々な活動のインパクトを確認するという点でも重要だと思われる。また、本研究の開発プログラムとして展開する活動については、データの質を可能な限り確保しながら収集していくこととする。
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Causes of Carryover |
今年度当初計画していたラジオドラマの制作ができなかったため残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度はラジオドラマを制作するとともに、その配信方法について検討し予算を適切に執行する予定である。
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