2014 Fiscal Year Research-status Report
脳磁図を用いた運動プログラムによる不安及びストレス軽減効果の評価研究
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25750352
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山野 恵美 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40587812)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ストレス / 不安 / 脳神経 / 行動科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳機能イメージング計測として時間分解能に優れる脳磁図計(MEG;magnetoencephalography)を用いて、持続可能な運動プログラム介入による不安・ストレスの軽減効果を、脳活動の変化により客観的に評価し、その作用機序を解明することを目的としている。 本年度は、スポーツ医学の専門家、運動トレーナーと協議し、運動介入プログラムの構築を実施するとともに、研究プロトコルの検討を主体的に行った。 試験デザインはランダム化並行群間比較試験の予定である。全被験者を介入前検査(質問紙検査など)の結果をもとに、運動介入群と運動非介入群に割り付けることとする。介入期間は先行研究を参照のうえ、6週間に設定し、運動介入群には、被験者が安全に、楽しんで、無理なく持続的に体力増進できる運動プログラムを実施する。段階的に運動強度を上昇させ(初期段階では修正Borg2、終了段階では修正Borg6程度)各試験日におけるプログラムはいずれもウォーミングアップ、メインエクササイズ、クールダウンの流れとし、約1時間の構成とした。運動非介入群には、運動と健康の関連性などについての指導教室のみ実施する。6週間後、介入後検査を行い、介入前後の気分、不安・ストレスレベル、疲労度などの変化を検証する。 本研究を実施するにあたり、被験者募集、試験実施場所の提供をしていただく協力機関との打ち合わせ、実施スケジュールの検討も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、ドットプローブ課題などのパソコンを用いた認知課題試験を実施し、被験者の「特性不安」と「不確実さの恐れ」気質が高いほど脅威刺激に対する反応時間が速くなることが観察され、注意バイアスが認められることが確認された。本研究で、使用する課題及び質問紙の方向性を確認することができた。 今年度は、本研究で最も重要なポイントである運動介入プログラムの構築に関して、スポーツ医学の専門家および運動トレーナーの協力を得て、具体的なプログラムの設定ができたことは非常に意義深い。また、一定の被験者数を募集し、6週間の介入期間を設定してランダム化並行群間比較試験デザインによる試験を実施することは、単独では厳しいが、実施を可能にする協力機関に恵まれたことで今後、スムーズに研究が展開していくと思われる。 以上より、試験実施環境、設備の不具合も特に認められないことから、次年度以降の本試験実施において特に問題はなく、進行状況としてはおおむね良好であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に設定した運動プログラムを用いて、ランダム化並行群間比較試験デザインで6週間の介入試験を実施する。研究協力機関において、被験者を各群20名程度を目標にリクルートし、行動試験レベルで介入前後における気分、不安・ストレスレベル、疲労度などの変化を検討する。また、行動試験実施後、次段階としてMEGを用いた運動介入試験を行う。適宜、必要に応じて運動プログラム内容、介入期間などは調整する。 MEGを用いた運動介入試験では、各種質問紙検査や心電図モニタリング、脳活動の測定を行う。MEGデータは、等価双極子推定法で算出される反応時間、等価双極子局在推定、磁場応答の強度などを確認するとともに、介入前後の安静閉眼時などの脳活動を空間フィルター法(BEATS)により解析する。 最終的には、MEGを用いた介入本試験で取得した測定データの包括的解析を行う。具体的には、介入前後の脳活動の変化、生体機能、質問紙による主観評価の変化を比較解析し、運動介入による不安、ストレス軽減効果を統合的に評価検証し、そのメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
今年度は、有識者を交えて運動介入プログラムの構築、試験実施スケジュールを含めた試験プロトコル検討、および協力機関との打ち合わせに重点をおいたため、被験者を募集しての試験実施を翌年度に変更した。そのため、当初計画していた被験者募集にかかる費用、謝金額を使用しなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
運動介入試験実施にあたり、被験者募集にかかる費用、実験協力の謝礼金、またMEGデータ解析のためのシステムおよび専用解析ソフト、解析データ保存用ディスクなどの消耗品費用、解剖学的な情報を取得するための磁気共鳴画像検査(MRI)費用が必要である。ほか、印刷費や通信費も試験遂行上、必要な経費に含まれる。 また、本研究分野に関連する学会、研究会における参加、成果発表や有識者との打ち合わせのための旅費、研究成果をまとめた英文誌に投稿するための英文校閲費や投稿費も必要である。
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