2015 Fiscal Year Annual Research Report
幸福感を高める前向き思考が心身の健康に及ぼす効果の検討
Project/Area Number |
25750354
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
松永 昌宏 愛知医科大学, 医学部, 講師 (00533960)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幸福感 / 心理学的介入 / 炎症 / 免疫機能 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの心身の健康を著しく阻害するストレスに対応するために,近年,『幸福感などのポジティブ感情』に着目した研究が注目されている。幸せや喜びなどのポジティブ感情を日頃から多く感じている人々は,そうでない人々に比べて,免疫機能が亢進していること(風邪の罹患率の低下,炎症反応の軽減など)や,ストレスからの回復性が高いことなどが観測されているためである。したがって,幸福感などのポジティブ感情を高めることで心身の健康が増進し,精神・身体疾患の発症を予防することが可能であると予想される。
本研究では,幸福感を高めるような心理学的介入の心身の健康状態に対する効果を検証した。実験の結果,毎日起きた出来事について,その時感じた自分の感情を素直に記述して一日を振り返るという,感情体験の自己開示を1週間行うことにより,幸福感の上昇,うつ症状の減少,身体的活性化(交感神経活動の上昇)を促すことが示された。また,幸福感の変化と唾液中CRP濃度(炎症マーカー)・sIgA濃度(免疫機能マーカー)との間に相関が認められた。本研究により,筆記による感情体験の自己開示は心身の健康状態を増進させることが示された。
加えて本研究では,幸福感の神経基盤を明らかにすることを試みた。磁気共鳴画像装置(MRI)を用いた生理心理学的実験の結果,幸福感は吻側前部帯状回の体積・機能と関連することが見出された。吻側前部帯状回は,自律神経機能や免疫機能をトップダウン的に制御する脳領域であると考えられている。したがって,本研究における心理学的介入の生理学的背景として,幸福感の増加により吻側前部帯状回機能が亢進され、自律神経機能や免疫機能が改善された結果、健康状態を増進させたのではないかと予想される。
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Research Products
(12 results)