2013 Fiscal Year Research-status Report
中枢-末梢臓器間連関を介したエポックメイキングな脳梗塞治療戦略の開発
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25750366
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
原田 慎一 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (60633443)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳虚血ストレス / 耐糖能異常 / orexin-A / 迷走神経 / 肝臓 |
Research Abstract |
これまでに、脳虚血ストレス負荷が、全身性の血糖値制御機能の破綻を誘導し、それが先行してその後の神経障害を悪化させる可能性を考察してきた。すなわち、脳虚血ストレス負荷後の血糖値の変動が神経障害の発現・進行に影響を及ぼしていると示唆される。本研究では、近年中枢末梢臓器間連関により、視床下部を介して末梢組織での糖代謝を制御することが報告された神経ペプチド orexin-A の虚血後高血糖ならびに神経障害発現に及ぼす影響について検討するために、肝機能を制御する神経の一つである迷走神経に着目し、orexin-A の作用発現に対する迷走神経の役割について検討した。 本研究から、脳虚血ストレス負荷後早期に、肝臓における insulin 感受性の低下を介した糖新生の亢進による血糖値上昇が、orexin-A の視床下部内投与によって抑制されることが明らかとなった。すなわち、視床下部における orexin-Aは末梢組織におけるインスリン感受性の改善に重要な役割を担っていると考えられる。さらに、これらの作用が、肝臓枝迷走神経の切除によって有意に消失したことから、orexin-A による中枢領域(視床下部)から末梢組織へのシグナル伝達に延髄から投射している迷走神経が関与している可能性が示唆された。 以上、本研究結果は、上位中枢における内因性生理活性ペプチドの活性調節が、脳卒中治療に対して有用であることを示唆していると同時に、脳虚血ストレス負荷後の全身性の耐糖能亢進による脳保護という新たな概念を脳卒中治療に導入するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 25 年度の計画の主軸としていた視床下部における orexin-A が迷走神経を介して、肝臓に影響を及ぼしていることを明らかにした。その成果は PLos One 誌に受理された。一方で、BDNF に関する研究がやや遅れているが、次年度中には達成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成 26 年度の計画の沿って行う予定である。特に、視床下部内 BDNF 局所投与による脳虚血性耐糖能異常および神経障害抑制作用に対する迷走神経の関与および、Orexin-A を視床下部内に局所投与することにより活性化する視床下部―延髄間を支配する神経系の同定に関する検討を重点的に行う。
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