2014 Fiscal Year Research-status Report
老化制御シグナルによるタウリン欠乏センシング機構とサルコペニアにおける役割の解明
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25750368
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 崇志 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (80423119)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 老化 / 骨格筋 / サルコペニア / タウリン / リボソームS6蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、タウリン欠乏による骨格筋老化促進のメカニズムとして、リボソームS6リン酸化の亢進が関与している可能性について検討を行っている。平成25年度には、C2C12マウス筋芽細胞より分化させた筋管細胞の培養系においてERストレス負荷によってリボソームS6のリン酸化が亢進することを見出した。平成26年度にはERストレスによるリボソームS6リン酸化について関与するシグナルの同定を試みた。IRE-1及びPERKの阻害剤処置のERストレスによるS6リン酸化亢進への影響について検討したが、変化が認められなかった。これは、長期間のこれら阻害剤処置そのものがERストレスとなりうることが影響しているものと考え、検討を中止した。 また、タウリン欠乏マウスにおいてERストレスを軽減すると考えられる4-フェニル酪酸(ケミカルシャペロン)の投与を行い、ERストレスの関与の検討を試みたが、タウリン欠乏マウスでみられるGrp78(ERストレス応答シャペロン)の発現亢進を抑制せず、加えてS6リン酸化の亢進も抑制しなかった。このマウスにおいては、少なくともケミカルシャペロンはERストレスの軽減には4-フェニル酪酸は効果がないことが示された。
さらに、タウリン欠乏によるS6リン酸化亢進に関わる酵素の同定を試みた。GSTタグとリボソームS6のリン酸化部位を融合した組換え蛋白(以下、単に組換え蛋白)を作製して実験に用いた。骨格筋ホモジネートに大腸菌を用いて作製した組換え蛋白を反応させた。組換え蛋白質のリン酸化がタウリン欠乏骨格筋を用いた時に亢進することが確認できた。次に、GSTプルダウン法や免疫沈降法で相互作用するタンパクの同定を試みた。ホモジネートと組換え蛋白の反応の際にはDSPやEGSといったタンパク結合クロスリンカーを加えた際に、タウリン欠乏骨格筋のホモジネートに特異的に結合蛋白が多い現象が観察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度、27年度にわたり、「新規RPS6キナーゼのタウリン欠乏依存的細胞老化における役割の解析」を予定していたが、キナーゼの同定に向けた実験系の確立ができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は引き続き、S6蛋白リン酸化部位と相互作用するタンパクからキナーゼを同定することを試みる。また、その役割について、細胞レベル、タウリン欠乏状態にあるタウリントランスポーター欠損マウスでの検討を行う。 また、新規キナーゼの機能解析が進めば、この蛋白の老化における関与を検討するために遺伝子組換え動物の作製をすべく、ベクター等の作製を進める。
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Causes of Carryover |
平成26年、27年度とで新規キナーゼを同定する予定であるが、当初は平成26年度中に蛋白の同定を見込み予算使用計画を立てていたが、平成26年度中に同定には至っておらず、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規蛋白の同定に向けた消耗品の購入等の費用に充当する予定である。
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