2013 Fiscal Year Research-status Report
子どもの交通事故と防犯対策を考慮した通学路の計画・空間設計手法の検討
Project/Area Number |
25750376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松永 千晶 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80325513)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 防犯環境設計 / 通学路 / 交通計画 / 交通規制 / 街路計画 |
Research Abstract |
登下校時の通学路上で発生する交通事故や路上犯罪・不審者出没は,子どもの日常生活の安全を脅かす大きな要因である.これらの発生には通学路周辺の子どもの存在状況と道路空間に関する物理的要因が影響しており,影響要因の制御によって抑制が可能であると考えられる.そこで本研究は,通学路のネットワーク・空間設計や交通規制などの交通計画的手法による交通安全・防犯対策の効果を検討することを目的とし,子どもの存在状況や道路空間の物的要因が交通事故および路上犯罪・不審者出没に与える影響の定量化を試みる. 当該年度においては,予定していたもののうち,路上犯罪・不審者出没と児童の存在状況および通学路の物的要因の関係の分析と定量化を行った.今回は中学生が被害者となる通学路上の犯罪・不審者出没を対象に,中学生の登下校行動と通学路の物的要因が与える影響を定量化する数学モデルの作成を行った.モデルは校区内の任意の地点の路上犯罪・不審者出没を目的変数,中学生の登下校行動および通学路空間の物的要因に関する物理量を説明変数とした.各要因には犯罪発生・不審者出没に対する影響度を表すパラメータを導入した.このモデルに実際の校区から得たデータを適用し,各要因のパラメータを変動させながら,モデルの再現性を検討し,その上でパラメータの考察を行った. 路上犯罪・不審者発生状況と中学生の登下校行動については,福岡市内の中学校1校を対象にアンケート調査を行い,データを収集した.調査項目は,登下校時刻・所要時間やルート,犯罪・不審者との遭遇地点・時刻・内容などである.道路の物的要因については,現地調査を行った.調査項目は,交通量・沿道施設の状況・街灯の有無などである. モデルを実際の校区の事例に適用した結果,学校から任意の距離での犯罪・不審者出没分布を良好に再現し,各要因の影響度を定量的に表現し,用印鑑の影響度の比較ができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度においては,交通事故についても分析やモデルによる定量化を行う予定であった.しかし,アンケート調査および現地調査のデータが予想以上に多く,整理に時間がかかったことから路上犯罪と不審者出没のモデル化のみ完了している状況である.交通事故に関しても同じ中学校で既にアンケート調査を行っているため,データの収集はある程度進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は初年度分の交通事故に対する中学生の登下校行動および通学路空間の物的要因の影響の分析・定量化を行った上で,その結果を用いた道路計画・空間設計手法の検討を行っていく予定である.検討には作成したモデルを用いたシミュレーションを予定しているが,シミュレーションは過去の経験上,比較的容易にできると考えられるため,以上のプロセスを期間内に終了させることについては問題ないと考えている. また,中学校でのアンケート調査を過去に別の小学校区で行ったものと比較した結果,中学生は小学生に比べて交通事故,犯罪・不審者遭遇ともに件数が著しく少ないことがわかった.そのため,追加調査として,前年度の中学校区と同じ小学校区でも同様のアンケートの実施を予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由としては,当該年度に予定していた交通事故に対する中学生の登下校行動および通学路空間の物的要因の影響に関する研究が実施できず,現地調査や関連資料の入手に関する経費を使用しなかったからであると考えている. 次年度に交通事故に対する中学生の登下校行動および通学路空間の物的要因の影響に関する研究を行う予定であるため,この研究実施に必要な経費として使用する.具体的には現地調査や,交通事故に関する資料・文献の購入費用である.また,前年度の中学校区と同じエリアの小学校区に対する追加アンケート調査を予定しているため,一部はその経費として使用したい.
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Research Products
(1 results)