2013 Fiscal Year Research-status Report
乳児の歌い手に対する選好メカニズム:歌いかけのコミュニケーション機能の検討
Project/Area Number |
25750380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山根 直人 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (60550192)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歌いかけ / 乳児 / コミュニケーション / 発達 / 母子相互作用 |
Research Abstract |
乳児にとって、養育者の歌いかけがどのような機能を持ち、乳児がそのコミュニケーション機能をどのように認知しているかを明らかにすることが本研究の目的である。研究初年度となる本年度は、まず、乳児の歌唱聴取に関する基礎的な知見を得るために、乳児の歌唱音声自体に対する脳反応測定を行った。その結果、歌唱に含まれる旋律(メロディー)と歌詞では異なる脳反応を示すことを明らかにした。加えてそれらの反応は乳児の発達によって異なり、各々の要素を分離して処理する段階から、より統合的に処理する段階へと変容することを見出した。加えて、歌唱とともに母子相互コミュニケーション場面で用いられることの多い、感情音声に対する乳児の反応について行動実験から検討し、文化・言語環境によらない共通性と発達における特異性を見出した。さらに、反応の個人差について、実験室という特殊な環境に対する心的状態を検討するために、ストレスマーカーとして唾液中に含まれるアミラーゼを取り上げ、実験前後におけるアミラーゼ値の変化と反応との相関を検討した。これらの実験結果から、言語と歌唱がもたらす乳児のコミュニケーション意図理解と個人差に関する基礎的知見を行動-脳-生理反応から得ることができた。次いで、これらの知見をもとに、視線計測および聴取実験に用いる楽曲の選定を行い、刺激となる歌唱音声の録音および視覚刺激の作成を行い、かつ視線計測実験および脳反応測定の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで取り上げられることの少なかった乳児の歌唱に対する脳反応を測定し、基礎的な知見を得ることができた。また、この結果を国内学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに、視線計測および脳反応測定に関する音声・視覚両刺激の選定を済ませ、詳細について解析中である。次年度は視線計測実験および脳反応測定実験を並行して行う予定である。個人差をみるための唾液アミラーゼの採取方法および測定プロトコルについても検討を済ませることができているため、速やかに本実験の実施、学会発表、論文執筆を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は研究遂行に当たり基礎的な知見を得るために、予備実験およびその解析を行ったため、人件費がかからなかったため。この未使用額は、次年度以降予定されている2つの本実験において、主に被験者への謝金および実験補助者への謝礼として用いる。 実験参加者への謝金は1回の測定あたり2時間で3,000円を予定しており(提出済理研倫理申請書に記載),1年間で100名分の謝礼を支払う。また、実験補助を行うアルバイトの雇用費として時給1000円を支払う予定であり、1日4時間、週3回で8ヶ月で2人に補助していただく区予定である。
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