2015 Fiscal Year Annual Research Report
乳児の歌い手に対する選好メカニズム:歌いかけのコミュニケーション機能の検討
Project/Area Number |
25750380
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山根 直人 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 専門職研究員 (60550192)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歌いかけ / コミュニケーション / 乳児 / 母子相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は育児や子育ての場面で見られる、養育者が乳児に歌いかける行動のコミュニケーション機能のメカニズムを検討することが目的である。そのために、まずこれまで焦点のあてらることの少なかった乳児の歌いかけに対する歌詞と旋律に対する脳活動測定から、先行研究より明らかになっている話しかけに対する脳反応と比較することで、乳児の歌いかけに対する脳活動の特徴について検討した。その結果5ヵ月児で既に歌いかけと話しかけとでは異なる脳反応を示していることを明らかにし、さらにそれが生後1年の間に変容することを見出した。 この知見を元に、歌いかけのコミュニケーション機能を乳児の視線反応を用いた選好注視実験から検討した。その結果、歌いかける行動と歌いかける際の視線が乳児の行為者への選好に影響を与えることを見出した。 本研究の結果と先行研究を併せて検討すると、乳児が発達の早期から歌いかけに含まれるコミュニケーション意図を認識し、能動的に歌い手に働きかけている可能性が示唆された。この知見は育児・子育て場面で「何を歌うか」ということだけではなく、「いつ、どのように乳児に歌いかけるのか」という点の重要性を指摘できるデータとなり、乳児の視点にたった育児・保育場面での歌いかけについて提言できると考える。
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