2014 Fiscal Year Research-status Report
Cortistatin Aの標的分子同定と抗がんリード化合物創製への展開
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25750384
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古徳 直之 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20362618)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 活性発現の分子機構 / 海洋天然物 / 抗がんリード化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の検討で、cortistatin Aの構造単純化アナログ化合物を短工程で合成できる第二世代合成法の確立に成功したので、今年度はこれを用いて、より強力かつ高選択的な活性を示す化合物の創製を目指した構造展開を検討した。その結果、A環部分に極性官能基を導入することで血管内皮細胞に対する増殖阻害活性が飛躍的に向上することを見出し、nMオーダーでその増殖を阻害するとともに、がん細胞に対する活性と3000倍以上の選択性を示す有望な化合物を見出すことが出来た。ごく最近、さらに活性の向上した化合物を合成することにも成功しており、in vivo活性評価においても良好な結果が得られているため、新たな抗がん剤のリード化合物として特許申請も計画している。一方、イソキノリン側鎖の構造変換についても検討したが、窒素原子の位置が異なるだけのわずかな変換で全く活性が消失することが明らかになり、標的分子による構造認識が非常に厳密であることがわかった。 上記の知見は、標的同定において、非特異結合を見分けるための有用なダミープローブに利用できると考え、実際にフォトアフィニティープローブ分子へと誘導し、活性評価を行ったところ、予想通り、化学構造が非常に類似していながら活性に大幅な差がある、有用なダミープローブ分子であることを明らかにした。後述の通り、当初計画から研究期間を延長してcortistatin Aの標的タンパク質の同定研究を進めることとしており、このダミープローブを用いた検討を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
活性アナログ化合物由来のビオチン標識アフィニティープローブ分子が十分な活性を保持していたため、これを用いたプルダウン実験で標的分子を同定できると考え、検討を進めていたが、非特異的に結合してくるタンパク質が多く、その後の解析が困難であった。選択的に結合してきたと思われるタンパク質についてはMS解析で同定できたため、ノックダウン実験を行ったが、標的分子とは関係ないことが判明するなど、当初計画の研究期間内に目的を達成することが難しい状況となった。そこで年度途中から、光照射により結合タンパク質と共有結合を形成できるフォトアフィニティープローブを新たに合成し、これを利用した標的探索に切り替えて再検討を行っており、研究期間を延長して標的分子の同定を目指すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
フォトアフィニティープローブの利用によって、結合タンパク質の電気泳動パターンは以前に比べるとクリアになり、非特異結合を減らすことが出来ている。現在、上述の活性を持たないダミープローブとの比較検討を進めており、両者で差が見られるもの、すなわちcortistatin Aの標的タンパク質の候補が明らかになりつつある。今後、更に検討を進めて候補の絞り込みを行うとともに、siRNAを用いたノックダウン実験などによる検証を経て、標的タンパク質を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に、cortistatin Aアナログ化合物由来のアフィニティープローブ分子を用いたプルダウン実験にて標的分子を探索し、RNAi法によるノックダウン実験で検証を行い、研究成果をまとめる予定だったが、従来のプローブ分子では標的分子の同定には至らなかったため、計画を変更し、標的分子と共有結合を形成できるフォトアフィニティープローブを用いた標的探索を行うこととしたため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フォトアフィニティープローブの利用で標的分子の候補が明らかになってきたので、活性を持たないリガンド由来のダミープローブ分子を利用した候補の絞り込みとRNAi法を用いたノックダウン実験による検証、研究成果の取りまとめを次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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