2014 Fiscal Year Research-status Report
標的糖質を選択的にラベル化する人工機能性レクチンの創製と細胞表層エンジニアリング
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25750387
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 大介 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00509929)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ラベル化 / 糖鎖認識 / レクチン / 人工機能性タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞表層上の糖鎖は、「細胞の顔」とも呼ばれ、恒常的な生命現象や疾病に深く関与している。そのため、標的糖質を選択的にラベル化し、その機能解析を可能にする新技術の開発は極めて重要である。本研究では、標的糖鎖を特異的に認識するレクチンと、特定波長の光照射下、ランダムに有機分子とクロスリンクする光反応性基を連結した新たな人工機能性レクチンを創製し、細胞表層上の標的糖質を選択的かつ直接的にラベル化する基盤技術の確立を目的とした。 前年度までに、生体適合性ポリマーPEGA レジンを用いた固相アフィニティラベル化法の開発に取り組み、Con AおよびPNAの糖鎖結合サイト近傍にアジド基を付与したアジド化レクチンの合成を達成している。しかし、本手法において、レジン上に固定化したレクチンを切り出すために用いたヒドラゾン‐オキシム交換反応は、アルコキシアミンと固相上のヒドラゾンとが反応する二基質型の反応であるため、タンパク質の種類によっては、立体障害が大きく、反応時間に72時間を要するなど、反応効率が低下してしまうことが明らかとなった。そこで本年度は、温和な条件下で速やかに進行すると期待できる光切断反応を切り出し反応として選択し、新たな光切断型ケミカルツール1のデザイン、合成、及び機能評価を行った。すなわち、①リガンド部位にマンノース、②固定化部位にブロモアセチル基、及び③切り出し部位に、人体に無害な長波長紫外光の照射下、切断可能なo-ニトロベンジル基を選択し、これをPEGAレジン上に併せ持つケミカルツール1をデザイン、合成した。次に、1 を用いたConAの固相アフィニティラベル化を検討した。その結果、固相に担持されたConAの光切断反応が、10分間の光照射下で速やかに進行し、効率的にアジド化ConAが得られる事を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の初年度で開発した固相アフィニティラベル化法は、標的レクチンを生体適合性ポリマー上に、選択的に固定化後、切り出し反応条件に附すことで、ラベル化レクチンを簡便に単離することができる効率的な手法である。しかし、本手法において、固相上に固定化したレクチンを、固相から切り出すために用いたヒドラゾン‐オキシム交換反応は、アルコキシアミンと固相上のヒドラゾンとが反応する二基質型の反応であるため、タンパク質の種類によっては、立体障害が大きく、反応時間に72時間を要するなど、反応効率が低下してしまうことが明らかとなった。このことは、ラベル化レクチンの変性を引き起こし、糖鎖認識能の低下に直結すると考えられるため、本年度は、迅速に切り出しが行える新たな光切断型固相ケミカルツールの開発に従事した。そのため、当初の研究計画より、進度がやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策として、引き続き1)リガンド部位、2)固定化部位、3)光切断部位を併せ持つ低分子を固相上に担持したケミカルツール3を合成し、光反応性基を有する人工機能性レクチンの創製と標的糖質の光ラベル化反応、続く切り出し反応の検討を行い、標的糖質の選択的な蛍光ラベル化を達成する。 尚、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での大きな問題点は現時点ではない。
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Research Products
(6 results)