2014 Fiscal Year Research-status Report
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25750393
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 亜沙子 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (50557121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 小分子化合物 / 核酸 / 発現制御 / バイオテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「Dicer によるpre-miRNA の切断効率を,小分子化合物で調節する」ことである。本研究では,RNA 中の特定の配列に結合する化合物を用いて,Dicer による切断に最適な2次構造をpre-miRNA に誘起する。これにより,pre-miRNA の切断効率を調節し,miRNA の生成量を化合物によってコントロールすることを目指す。平成25年度において,当初使用予定であった(Z)-NCTSおよびNCDに細胞毒性があることが分かり,使用を断念した。そこで,当研究室で新規に合成されたRNDを標的とし,RNDに結合するRNA配列をin vitroセレクション法により探索し,得られた配列を本研究に利用することにした。平成26年度は以下の3つの項目に分けて研究を進めることとした。 1. 得られた末端ループ変異体の発現ベクターを作製し,細胞内での有用性の確認:in vitroセレクションで得られた末端ループ変異体配列を導入した発現プラスミドを作製し,細胞内で変異体を発現させた。RNDの有無でmiRNAの生成量が変化するかをレポーターアッセイによって確認した。 2. 得られた末端ループの配列を基に,RND依存的にmiRNAの生成効率が変化するpre-miRNA発現プラスミドライブラリーを作製:先に得られた末端ループ配列を他のpre-miRNAに導入した場合に,RND依存的なプロセシング効率の変化が見られるかどうかを検討した。 3. 細胞内でのRND依存的にmiRNAの生成効率が変化するpre-miRNA末端ループ配列をcell-basedセレクションにより選別:RNDの結合でDicerによる切断効率が変化する末端ループ配列を,cell-basedセレクションにより得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 得られた末端ループ変異体の発現ベクターを作製し,細胞内での有用性の確認: おおむね順調に進展している。しかしながら,研究計画に若干の変更を加える必要があった。pre-miR-29aの配列中に,転写終結シグナルが含まれていたため,そのままの配列を使うことができなかった。そこで,得られた末端ループ変異体のステム部分の配列をpre-miR-122のステム部分の配列に置換した,pre-miR-122-loop#2を発現するプラスミドを作製した。さらに,miR-122の標的配列をルシフェラーゼ遺伝子の3’側非翻訳領域に導入したレポータープラスミドを作製した。発現プラスミド,レポータープラスミドをHeLa細胞に導入し,RND添加によるルシフェラーゼ活性の変化を調べた。しかしながら,RND添加による効果は見られなかった。 2.得られた末端ループの配列を基に,RND依存的にmiRNAの生成効率が変化するpre-miRNA発現プラスミドライブラリーを作製: おおむね順調に進展している。1.と並行して,Dicerによるpre-miRNA切断反応でもRNDの効果を評価した。先に得られた末端ループ配列を,pre-miR-29a以外のpre-miRNAのループ部分に導入した場合に,RND依存的なプロセシング効率の変化が見られるかどうかを検討した。その結果,RNDの添加でDicerによる切断反応が阻害されることが分かった。ライブラリーの作製には至らなかったが,ループ部分をセレクションで得られたループ変異体の配列に置換することで,RND依存的な切断反応のコントロールができることが示唆された。 3. 細胞内でのRND依存的にmiRNAの生成効率が変化するpre-miRNA末端ループ配列をcell-basedセレクションにより選別:やや遅れている。in vitroセレクションを優先したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には,in vitroセレクションで得られたpre-miR-29a末端ループ変異体をもとに,細胞内でpre-miRNAループ変異体を発現する発現ベクターを調製した。pre-miRNA変異体のプロセシングに対するRND添加の効果を,レポーターアッセイにより評価した。しかしながら,細胞内ではRNDの効果が見られなかった。今後は,レポーターアッセイ以外の方法,例えばRT-PCRなどによりmiRNAの発現量を定量し,RND添加の効果を詳細に解析する。また,RND添加の効果が細胞内で見られなかった原因を突き止める。RND以外の化合物に対するpre-miRNA変異体を得るために,cell-basedセレクションシステムの構築を進める。
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Causes of Carryover |
研究を進めるにあたり必要に応じて研究費を執行したが,研究項目の変更があり,当該年度に予定していた研究項目(細胞を用いたセレクション実験)を実施することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に予定していた研究項目は次年度に実施予定であり,研究の全体計画に大きな変更はない。前年度の研究費も含め,当初予定していた計画に沿って研究を進める。
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Research Products
(7 results)